2013 Fiscal Year Annual Research Report
陽イオン輸送系の協奏調節による細胞内浸透圧の恒常性の維持機構の解析
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25292055
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
魚住 信之 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40223515)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 浸透圧 / 耐塩性 / イオン環境 / 輸送体 / シロイヌナズナ / 脂質修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物のシロイヌナズナで,NaおよびKの膜輸送を担うHKTとNHX輸送体遺伝子(AtHKT1およびAtNHX1~8)の輸送体の概日性などの発現に関して検討するために,1.9~2.3kbのプロモーター領域をルシフェラーゼ遺伝子(luxAB)に連結したプラスミドの作成を行った。これまでに一部作成しており上記全ての9種類のプラスミドの完成を行った。次に,シロイヌナズナへ導入して抗生物質耐性とPCRによる検出を行って,目的の植物の取得を行った。ヘテロ株の取得後,ホモ株の取得を行った。 野生株、athkt1変異株、atnhx1変異株、athkt1,atnhx1の二重変異株を用いて、明暗条件や環境ストレス環境において地上部および根の生長、度合いを比較する予定であったが,上記変異株の表現型において,種子の取得の難しいものが見つかった。これは,目的と異なる変異が導入されていることが明らかとなり,その分離を行っている。 シロイヌナズナの6種類のKチャネル(KAT2, AKT1, AKT2, GORK, SROKおよびAtKC1)の細胞内側のC末端領域を大腸菌で発現,精製してリン酸化反応の検討を行った。Thrがリン酸化されない状態を真似たAla(擬非リン酸化残基)置換体とThrがリン酸化された状態を真似たAspに置換した輸送体の作成も行い,リン酸化検出をすすめた。 Caに結合するタンパク質であり,膜への移行とそれによる膜輸送体との接触が予測されているCPK1~CPK34、CRK1~CPK8、CBL1,4,5,9のMyristoylation 候補Gly(N末端から2残基目)を含むN末端領域10アミノ酸をレポータータンパク質のN末端に連結した融合タンパク質を作成した。無細胞翻訳系によって放射性標識によるMyristoylationにより,脂肪酸の付与を検討した。多くのMG配列をもつタンパク質が脂肪酸付与された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロモーター融合体の植物への導入は完了して植物体の作成が進んでいる。Kチャネルの部分断片の大腸菌における発現は,細胞毒性が予測されたが,検出実験にお持ちることができる量の精製が可能であり,大腸菌から精製した植物由来のリン酸化酵素によるリン酸化の検出が行われた。脂肪修飾に関するコンストラクトが完成して,脂質修飾の実験により,脂質修飾の付与が起こる場合がわかったと同時に,脂質修飾に必要なアミノ酸配列も明らかになってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に作成した発光蛋白質を導入した植物を用いて,遺伝子発現を実時間発光観察装置で発現量を検出する。AtHKT1プロモーターの5kb上流領域反復配列の遺伝子発現を引き続き調べる。高濃度に加えて、低濃度Na(0-30mM)における野生株、athkt1変異株athkt1/atnhx1二重変異株の生育差とAtHKT1の発現をレポーターGUS法で調べる。 卵母細胞に前年度に作成したチャネルを導入して,膜電位固定法によるKチャネルの輸送活性により非リン酸化残基とリン酸化残基に置換した輸送体の性質を明らかにする。脂質修飾の中でも,Palmitoylationを検討する。翻訳後修飾反応であるため、細胞を用いた検出法で放射性パルミチン酸によるCBL1,4,5,9の修飾を検討する。予想外の第2番目の変異が目的とする輸送体遺伝子以外の遺伝子に導入されている可能性が見つかったことから,真の表現型を明らかにするために分離をすすめる。目的の変異株の取得には,PCRによる目的に電子の脱落を常に行い目的の変異株の取得をおこなう。
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Causes of Carryover |
当初の予想に反し,目的遺伝子とは異なる新たな変異が明らかとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
耐塩性等に関与する可能性が高い本遺伝子が,目的遺伝子とは異なることを検証して,目的遺伝子の純化を行う。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Characterization of the role of a mechanosensitive channel in osmotic down shock adaptation in Synechocystis sp. PCC 68032013
Author(s)
Nanatani,K.,shijuku,T.,Akai,M.,Yukutake,Y.,Yasui,M.,Hamamoto,S.,Onai,K.,Mrishita,M.,Ishiura,M.,and Uozumi,N.
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Journal Title
Channels
Volume: 7
Pages: 238-242
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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