2014 Fiscal Year Annual Research Report
AM菌におけるストリゴラクトン誘導性共生因子の解明
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25292066
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋山 康紀 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (20285307)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アーバスキュラー菌根菌 / Myc factor / ストリゴラクトン / 共生シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
ストリゴラクトン処理したAM菌の菌体からはキチン4糖および5糖が生成することが知られている。そこでAM菌の主要な細胞壁成分であるキチン質について構造解析を行い,AM菌の細胞壁から生成し得るキチン質オリゴ糖の存在について精査した。それらオリゴ糖を化学的・酵素的手法により調製し,イネにおけるAM共生マーカー遺伝子の発現誘導について調べることとした。 AM菌Rhizophagus irregularisの菌体を1 N NaOH続いて2% AcOHで加熱還流することによりキチン画分を得た。これをStreptomyces griseus由来のエンド型キチナーゼで処理し,酵素加水分解産物についてTLC, LC-MS, NMR分析を行ったところ,キチン2糖に加えて,非還元末端側の糖残基のアセトアミド基が脱アセチル化されたキチン2糖が同定された。このことからAM菌のキチンはN-アセチルグルコサミンだけではなく,グルコサミンを含むヘテロ多糖であることが明らかとなった。そこでAM菌の細胞壁キチンから生成し得るオリゴ糖断片として部分N-脱アセチルキチンオリゴ糖の共生シグナルとしての機能について調べることとした。キトサン4糖の部分N-アセチル化により調製した部分N-脱アセチルキチン4糖をイネ(cv. Nipponbare BL2)の発芽3~4日後の実生に処理し,12時間後の根におけるAM共生マーカー遺伝子(AM1, AM2, AM3, RAM1)の発現量をqRT-PCRにより測定した。その結果,AM1, AM3, RAM1について発現量の顕著な増加が見られた。一方,Myc-LCO およびキチン7, 8糖 では共にマーカー遺伝子の誘導は見られなかった。これらのことからグルコサミンを含む部分N-脱アセチルキチンオリゴ糖が共生シグナル物質として機能している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
AM菌におけるストリゴラクトン誘導性物質であるキチンオリゴ糖の発生源として細胞壁キチン質に着目し、その化学構造を詳細に解析することで、部分N-脱アセチルキチンオリゴ糖が共生シグナル物質として機能している可能性を突き止めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
イネはMyc-LCOやキチンオリゴ糖には全く共生応答を示さないが、アセチル基が脱離したキトオリゴ糖には強く応答することが明らかになった。さらに引き続き、キトサンオリゴ糖の共生マーカー遺伝子発現解析を進めることで、真のMycファクターの解明に至ることが期待できる。
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Research Products
(2 results)