2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25292075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
寺尾 純二 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60093275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 俊之 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (90706988)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フラボノイド / プレニル化 / 生体利用性 / 抱合体代謝 |
Research Abstract |
本研究は、フラボノイド骨格に対するプレニル基の導入がフラボノイドの機能性に与える影響を、構造活性相関の観点から解明することを目的としている。プレニルフラボノイドの機能性が注目されつつあり、さらに生物工学的手法によるフラボノイドのプレニル化も期待されることから、 本研究は意義深いと考えた。本年度はケルセチン(Q)と8-プレニルケルセチン(PQ)のADME(吸収、分布、代謝、排泄)を比較することにより、プレニル化がフラボノイドの生体利用性に及ぼす影響を詳細に検討することを試みた。すでにわれわれは、PQの血漿の生体内循環量はQよりも少ないことを明らかにしている。しかしマウス経口摂取実験において、腎臓ではPQはQよりも多く蓄積したことから、プレニル化は腎臓からの排出に影響することが示唆された。マウス腎臓中には血漿みられないPQのアグリコンが存在したことから、プレニル化による脱抱合反応の促進が考えられた。一方、ヒト胎児腎細胞HEK293細胞を用いた実験系においてプレニル化はABCトランスポーターを介した排出を抑制することが示された。したがって、プレニル化は腎臓からの排出を抑えることで蓄積量を増加させ、活性型アグリコンへの変換を促すことで効果的にフラボノイドの機能を腎臓に置いて効果的に発揮させると推定した。また、PQよりも疎水性が高い5'-PQ,6-PQは8-PQは、HEK293細胞により多く取り込まれること明らかにした。この事実は、プレニル基の結合位置の相違が細胞取り込み量を介して機能性発現に影響することを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度当居の計画は①リポソーム膜および培養細胞を用いた「細胞膜親和性に対するプレニル化の影響」、②培養細胞およびマウス単回投与実験による「フラボノイドの腸管吸収に対するプレニル化の影響」③マウス長期摂取実験による「フラボノイドの標的部位蓄積に対するプレニル化の影響」を明らかにすることであった。①については、すでにほぼ実施済みであり、プレニル基の位置も取り込み易さに影響することを明らかにした。②についてはすでに昨年度までに研究を完成させ、その一部は論文として発表した。③に関して、プレニル化による腎臓の標的化を示し、その原因の一部も明らかにした。他の臓器の標的かについては十分な考察はしていない点、8-PQ以外のプレニルフラボノイドのデータに欠ける点に問題はあるが、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に予定したヒト血管内皮細胞(HUVEC)の培養実験が準備できたので、平成26年度はHUVECを用いて、各PQ位置異性体の細胞取り込み量を決定し、酸化ストレスに基づくレドックスシグナル情報伝達系および発現タンパク(HO-1,NQO-1)を追跡する。これらの結果からプレニル化とその位置がフラボノイドの血管内皮保護作用に与える影響を評価する。当初予定した「長期摂取フラボノイドの標的部位への蓄積に対するプレニル化の影響」については先行して実施した「プレニルナリンゲニン(PN)の抗筋萎縮作用」を基に、筋肉組織を標的としてナリンゲニンのプレニル化が組織への代謝蓄積および排出に与える影響を評価する予定である。同時に、腎臓におけるプレニル化の影響も詳細に検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究事業は平成25年度から平成27年度の3年間計画プロジェクトであり、研究を次年度も継続するために次年度も25年度基金分の残金「12,018円」を含めて予算を使用する。 細胞実験を中心にプレニルフラボノイドの細胞内取り込みと血管内皮保護作用の関係を明らかにする。 細胞培養とプレニルフラボノイド分析および内皮の機能タンパク発現を測定するための消耗品を主に購入する。
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