2014 Fiscal Year Annual Research Report
宿主との共進化をメルクマールとした家畜用プロバイオティクスの選抜と機能開発
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25292165
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
牛田 一成 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (50183017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大熊 盛也 独立行政法人理化学研究所, 微生物材料開発室, 室長 (10270597)
丸山 史人 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30423122)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 共進化 / 腸内細菌 / ブタ / イノシシ |
Outline of Annual Research Achievements |
25年度と同様にイノシシ科動物より乳酸菌の分離を行った。26年度は、ガボン産アフリカ種ブタ2頭、野生ニホンイノシシ(<i>Sus scrofa scrofa</i>)捕獲個体2頭、ガーナ共和国野生イボイノシシ(<i>Phacochoerus africanus</i>)野生個体3頭およびアクラ動物園飼育個体6頭より糞便試料を採取した。それぞれからBS培地、LBS培地を用いて乳酸菌を分離し、純粋化ののちDNAを抽出した。16S rRNA遺伝子の塩基配列にもとづいて同定をおこない、昨年度に引き続きイノシシ科に共通する乳酸菌として<i>Lactobacillus mucosae</i>を、飼育個体に共通する乳酸菌として<i>L. amylovorus</i>、<i>L. reuteri</i>を得た。26年度もゲノム支援の援助を受けて、上記3種乳酸菌の合計80株の全ゲノムシーケンスを宮崎大学医学部において実施した。解読されたシーケンスに基づき現在アセンブル作業を継続している。 25年度に実施したイノシシ科6種動物の新鮮糞のメタゲノム解析データを解析することで原核生物の分布と真核生物の分布を数量化した。食物由来と考えられる真核生物のメタゲノム情報には種間および飼育条件間に大きな違いがなかったものの、原核生物由来の遺伝子の構成には、1)野生個体か飼育個体か、2)家畜ブタであるかイノシシ(あるいはアカカワイノシシ)であるかの間に大きな差異を認めた。飼育個体では、種にかかわりなく<i>Lactobacillus</i>属が優勢化しているのに対し、野生個体では<i>Bifidobacterium</i>属が最優勢の乳酸菌であった。一方、家畜ブタではアカカワイノシシおよび野生ニホンイノシシと比較して大腸菌群が卓越化していることが明らかとなった。現在、これらの情報について論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度予定したメタゲノム解析を終了し、学会発表1回に加えて原著論文を投稿するに至った。また、アフリカにおける採材も機会を得て再度実行することができた。「ゲノム支援」に26年度も採択していただいたおかげで、全ゲノム解析が想定以上に進むこととなったことは特筆すべき点である。
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Strategy for Future Research Activity |
乳酸菌ゲノム情報については、25年度に解析した48株、26年度に解析した80株の解析を中心に進める。プロバイオ候補菌の選抜にあたって、重要と考えられる遺伝情報の洗い出しを開始することでドライ情報にもとづいた選抜を進め、最終年度のプロバイオ効果のウェット検定につなげていく。
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Research Products
(3 results)