2013 Fiscal Year Annual Research Report
尿主要タンパク質コーキシンの遺伝子欠損ネコ作製と機能解明
Project/Area Number |
25292191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山下 哲郎 岩手大学, 農学部, 准教授 (20202377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 雅雄 岩手大学, 農学部, 准教授 (20392144)
片山 泰章 岩手大学, 農学部, 准教授 (70436054)
澤井 健 岩手大学, 農学部, 准教授 (90390864)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝子改変動物 / 酵素 / 尿タンパク質 |
Research Abstract |
本研究では、ネコの尿に種特異的に分泌されるカルボキシルエステラーゼファミリーの一種である「コーキシン」の遺伝子欠損ネコを作成し、コーキシンの機能解明を目指すことを目的としている。特定の遺伝子を欠損したノックアウトマウスは、これまで様々なタンパク質の機能解析に活用されてきた。しかし着目したタンパク質がマウスで発現していない場合、あるいはマウスと発現部位や発現時期が異なっていた場合、ノックアウトマウスで機能解析はできない。そこで本研究では、人工DNA制限酵素「TALEN」などをネコの受精卵に作用させコーキシン配列の破壊を行い、コーキシン遺伝子欠損ネコを作成してネコ尿主要タンパク質コーキシンの機能解明を目指している。本年度は、まずネコのゲノム配列を参照してエクソン1およびエクソン2からTALENのターゲット部位をそれぞれ作成して、和光純薬およびLifeScience社にTALEN発現ベクターの構築を外注した。その後、我々は、完成した発現ベクターをネコ腎臓上皮培養細胞(FKD細胞)に遺伝子導入して、Transgenomic社のサーベイヤー遺伝子変異検出キットを使用し、コーキシン遺伝子の切断活性を調べた。その結果、エクソン1に対するDNA切断活性は認められなかったが、エクソン2に対するDNA切断活性は認められた。よってエクソン2をターゲットとするTALENの発現ベクターを以降の実験に用いることができることになった。現在は、ネコの受精卵を準備してin vitro transcriptionで準備したTALENのmRNAをマイクロインジェクションするための条件検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、エクソン1をターゲットとするTALEN発現ベクターの構築を行ったがDNA切断活性は認められなかったが、エクソン2をターゲットとするベクターを構築した結果、コーキシン遺伝子の切断活性が認められ、本年度の大きな課題を克服することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、コーキシン遺伝子欠損ネコの作成を最大の目標とする。まず自然交配でネコの受精卵を準備して効率的にコーキシン遺伝子改変処置をできるマイクロインジェクションの条件を確立する。この結果を踏まえ、遺伝子改変処置した受精卵を仮親のメスネコに移植して、コーキシン遺伝子欠損ネコを作成する試みを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度以降の研究で用いる受精卵作成に必要な雄ネコを新たに購入する必要が生じ、それとともに、ネコ飼育に要する費用を増額することとなった。また、マイクロインジェクションの条件検討に当初予定以上の受精卵が必要になり、それに関連する実験補助アルバイト費用と消耗品経費の増額が必要となったため。 次年度使用額は以下の用途に使用する。 1)実験用ネコ(雄ネコ約40万円)を購入する。2)動物飼育・動物実験補助のアルバイト経費および飼育費を26年度予定していた180万円に60万円増額し、240万円にする。3)マイクロインジェクション実験に関する消耗品類を26年度予定していた90万円に90万円加算して180万円とする。4)尿中コーキシンおよびフェリニン関連物質の変動量を測定するための試薬類と分析用カラム等の消耗品類に200万円使用する。
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