2013 Fiscal Year Annual Research Report
文化的景観概念の拡充のための生活基盤景観に関する研究
Project/Area Number |
25292211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 良平 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (40272439)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文化的景観 / 景観保全 |
Research Abstract |
まず本研究の主題である「生活基盤景観」を含めて文化的景観を論ずる枠組みを再検討した。ついで具体的な生活基盤景観の特性把握手法について分析指標の検討を行い、農業地・林業地・漁業地など生業に応じて、集落などの居住空間、耕地・林地・漁場などの生産空間、社寺などの信仰空間および周辺の山地や河川などの自然環境を中心に、それらの間での[見る-見られる]の相互関係を様々に想定し、その可視特性を分析指標として設定した。 あわせて広範な事例から概要調査を行うための対象地の選定を業態と自然条件などの違いを考慮しながら検討し、25年度は主に農業地域を対象に、中世期に荘園として発達した由来をもつ農村集落を調査対象として設定した。具体的には広島県世羅町の旧太田荘に由来する集落、および新潟県柏崎市の旧佐橋荘に由来する北条・南条地区を選定した。前者は全体が盆地地形であり、[見る-見られる]関係が盆地内に収まるものの例である。後者は同様に山稜に囲まれながらも盆地ほどの囲繞性がなく遠方の山岳なども見える例である。 選定された対象地に対して、各集落や産業地の基本的成立過程について、歴史資料等を各種収集・閲覧のうえ整理し歴史調査を行ったうえで、主としてDEMによる地形モデル(国土地理院の基盤地図情報10mメッシュデータ)を用いて、先に設定した視点および被視点を対象に可視特性についての被視頻度分析等の数値解析を行った。このうち新潟県北条・南条地区については現地調査を実施して数値解析結果の確認・修正等を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概要調査の対象地設定について地形の囲繞性から検討を進めたが、それ以外の因子については未だ検討不十分であり、対象地の選定が予定よりもやや遅れている。選定された対象地の数値分析等は概ね実施したが、現地調査については2か所の暫定対象地のうち一か所実施したに留まり、やや遅れている。 これらの理由としては当初想定したエフォート30%の確保が現実的に若干困難であったこと、および連携研究者および研究補助者との協力関係が必ずしも十分でなかったことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究代表者のエフォートの確保を図るとともに、連携研究者および研究補助者との協力関係をより充実させることで研究を推進させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大判スキャナの購入を予定していたが、研究の進捗の若干の遅れに対応し適切な機種の確定に至らなかったため25年度の購入を保留した。またGIS専用のPCの購入も予定していたが、25年度に大きく更新されたWindowsのOSに対してGISソフトの適合が遅れているため、購入を保留した。また研究補助者の活用が十分でなかったため謝金等の支出が予定通り実施できなかった。 購入予定の物品については、研究の進捗を速めるとともにGISとOS環境の対応動向に合わせて順次購入する計画である。また研究補助者の活用についてはあらかじめ短期雇用の形態で契約をし、計画的に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)