2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25293015
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小林 俊秀 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 主任研究員 (60162004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 玲子 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 専任研究員 (60342747)
阿部 充宏 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 専任研究員 (90415068)
村手 源英 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 研究員 (30311369)
岸本 拓磨 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 基礎科学特別研究員 (70585158)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脂質ドメイン / 脂質プローブ / スフィンゴミエリン / 脂質結合性毒素 / 上皮細胞 / 細胞分裂 / 形質膜 / 脂質の可視化 |
Research Abstract |
脂質ラフトの主要成分であるスフィンゴミエリンの膜中での分布状態の詳細を知る目的で、スフィンゴミエリンに特異的に結合する毒素であるライセニンとエキナトキシンの結合特性を解析した。われわれはこれまでにライセニンが5-6分子のスフィンゴミエリンのクラスターを認識することを示しているが、これに対してエキナトキシンは「分散した」スフィンゴミエリンに良く結合することが明らかになった。フリーズフラクチャー免疫電子顕微鏡法によりライセニンによって認識されるスフィンゴミエリンのクラスターは半径24 nm程度の脂質ドメインを形成するのに対して、エキナトキシンが結合する分散したスフィンゴミエリンはドメインを形成しないことが示された。エキナトキシンとライセニンを異なったスフィンゴミエリンの分布状態の指標として用いることにより、細胞表面におけるスフィンゴミエリンクラスターの形成にはコレステロールが必要である、またスフィンゴミエリンクラスターの形成は糖脂質によって阻害されることが明らかとなった。さらに上皮細胞の先端側と基底膜側ではスフィンゴミエリンの存在状態が異なること、細胞分裂の際には中心体にスフィンゴミエリンのクラスターが集積すること、またリソソームのスフィンゴミエリナーゼの欠損症であるニーマンピックAでは、細胞表面のスフィンゴミエリンクラスターが欠損していることが明らかとなった。これらの結果は細胞膜におけるスフィンゴミエリン含量と分布状態が細胞のホメオスタシスや病態に重要な役割を果たしていることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では以下の3つの項目について明らかにすることを目的としている: 1. スフィンゴミエリンとコレステロールの複合体に選択的に結合する新規タンパク質を用い、超高解像蛍光顕微鏡と免疫電子顕微鏡法により脂質ラフトの超微細構造を解析するとともに、細胞分裂や細胞接着等における脂質ラフトの動態を併せて観測することにより脂質ラフトの時間的、空間的分布を明らかにする。 2. 異なったスフィンゴミエリの分布状態を認識する2つのタンパク質を用い、免疫電子顕微鏡により細胞内のスフィンゴミエリンの分布状態を調べるとともに、スフィンゴミエリンのクラスター化を制御するタンパク質、脂質因子をスクリーニングする。 3. 秩序液体相を選択的に認識するタンパク質を用い、細胞膜脂質二重層内外の秩序液体相の分布、動態を測定するとともに、秩序液体相の持つ生理的意義を明らかにする。 平成25年度はこのうち2.の項目についてほぼ計画通り研究を進めることができた。また項目1.についても現在研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はスフィンゴミエリンとコレステロールの複合体に選択的に結合する新規タンパク質を用い、超高解像蛍光顕微鏡と免疫電子顕微鏡法により脂質ラフトの超微細構造を解析するとともに、細胞分裂や細胞接着等における脂質ラフトの動態を併せて観測することにより脂質ラフトの時間的、空間的分布を明らかにする。また当初秩序液体相の検出には相特異的タンパク質を用いることを予定していたが、予備実験で相特異的色素の利用がうまく進んでおり、この点については色素を用いることに変更し、細胞における相状態と脂質の分布との関係を明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初平成25年度はスフィンゴミエリンとコレステロールの複合体に選択的に結合する新規タンパク質を用い、超高解像蛍光顕微鏡と免疫電子顕微鏡法により脂質ラフトの超微細構造を解析するとともに、細胞分裂や細胞接着等における脂質ラフトの動態を併せて観測することを目的とし、平成26年度は異なったスフィンゴミエリの分布状態を認識する2つのタンパク質を用い、免疫電子顕微鏡により細胞内のスフィンゴミエリンの分布状態を調べるとともに、スフィンゴミエリンのクラスター化を制御するタンパク質、脂質因子を同定することを予定していた、しかし平成26年度に予定していた研究が急速に進んだため、当初の予定を変更し、平成25年度にスフィンゴミエリの分布状態を認識する2つのタンパク質の解析を集中的に行い、スフィンゴミエリンとコレステロールの複合体に選択的に結合する新規タンパク質の解析は平成26年度に回したため予算変更が生じた。 本年度は種々の脂質プローブを駆使した細胞膜ドメインの免疫電子顕微鏡法および光学顕微鏡解析を中心に研究を進める。次年度使用額は主として超高解像顕微鏡を用いた脂質ドメインの超微細構造の解析とそれに伴う細胞培養試薬、細胞染色試薬、プラスミドDNA等の購入に使用する予定である。
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[Presentation] Free cholesterol loading induces the degradation of perilipin 2 and rab18-de pendent abnormal lipidation of apolipoprotein B in cultured hepatocytes2013
Author(s)
Makino A, Hullin-Matsuda F, Murate M, Abe M, Fukuda M, Yamashita S, Fujimoto T, Vidal H, Lagarde M, Delton-Vandenbroucke I, Kobayashi T
Organizer
第86回日本生化学会大会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
20130911-20130913
Invited
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