2014 Fiscal Year Annual Research Report
次世代遺伝子解析による新型脳炎の原因究明及び神経感染症診断システムの構築
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25293205
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高嶋 博 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80372803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 英治 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30598800)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳・神経 / 感染症 / 微生物 / DNAコンピュータ / 遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は40-70歳代の進行性認知症4例に特殊な慢性脳脊髄炎を認め、病理学的にこれまで経験のないGrocott染色陽性の病原体を確認した。その病原体は、2-5ミクロンの細胞壁の無い円形であり、これまで病原性が確認されているどの菌とも類似していない。患者4例とも同一地域に居住し、地域的な感染が疑われ、これまでの範疇を超えた新しい病原菌を推定している。その新種の脳炎について、これまでに、形態学的な解析で病原菌の電子顕微鏡写真の撮影を行い、また、脳サンプルから病原体のDNA/RNAを抽出した。2名の患者から200本以上のDNA断片の配列を確認し、菌種をほぼ同定した。この菌は、細菌、ウイルスなどに属さない、細胞壁のない全くあたしい菌種である。さらに治療法も確認し、特許を申請した。そのため、本菌の詳細をは次年度の報告に詳細に記載する。また、本菌を同定する過程で、ヒト組織中にある病原菌のゲノムの断片を、効率的に整理し、菌種を推定するシステムを作成した。具体的には、組織からの配列は、ヒトの遺伝子配列 (ヒトゲノム配列, ヒトmRNA)を除去し、残った配列を連続的にNCBIのBLASTnで、自動的に類似性の比較を行い、菌種の同定を行うものである。実際にはヒト組織の中に多くの金由来の遺伝子が混在しているため、DNA配列と実際の菌種を合わせていくには、多数例での検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界で初めての細菌でもウイルスでもない新しい菌種の同定に成功し、特許および論文投稿中である。そのため、おおむね順調にいっているといえる。ただ、追加の症例がないため、菌の培養には至っておらず、その点は課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
新しい脳炎については、想定外に新しい患者を見つけることが困難であり、一時的な風土病かもしれず、好発地域の医療機関と協力して継続して調べる予定である。 本研究では、一般の感染症の病原体の迅速な診断法の開発も重点項目に挙げている。27年度には現在にシステムをさらに発展させて、多くの検体を用いて実際の起因菌をどの程度の率で認識できるのが実証が必要である。
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