2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規摂食・エネルギー代謝調節ペプチドの網羅的探索と機能解析
Project/Area Number |
25293216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中里 雅光 宮崎大学, 医学部, 教授 (10180267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 秀樹 宮崎大学, 医学部, 講師 (10305097)
十枝内 厚次 宮崎大学, 医学部, 講師 (80381101)
上野 浩晶 宮崎大学, 医学部, 助教 (00381062)
土持 若葉 宮崎大学, 医学部, 医員 (90573303)
坪内 拡伸 宮崎大学, 医学部, 医員 (60573988)
清水 浩一郎 宮崎大学, 医学部, 医員 (90711292)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 摂食調節 / 視床下部 / ペプチド / 細胞内伝達情報 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
申請者らが発見した新規生理活性ペプチドNHP(Novel Hypothalamic Peptides)の中で、インスリンと共存が確認された2つのペプチドはともに、二重免疫電顕によりインスリンと同一の分泌顆粒に局在していた。2つのNHPは、高グルコース下で、単離膵島とマウス由来β細胞株MIN6のインスリン分泌を促進することから、インスリン分泌を持続させる機序に寄与すると考えられる。申請者らが発見したNHP単独でのインスリン分泌増強作用は弱いが、1つのNHPは、高血糖時にインスリン分泌に機能するGLP-1の作用を増強することから、新たな糖尿病治療薬になる可能性がある。このNHPをリードペプチドとした化合物を作製し、その作用機序の解析と臨床応用に向けて、基礎的知見の集積を開始している。 バソプレシン分泌の抑制に機能する新規ペプチドNEPR-1とNERP-2の分子機序の解析をマイクロダイアリシス法とパッチクランプ法を用いて行った。NERP-1はシナプス前細胞のグルタミン酸分泌を直接抑制するのに対し、NERP-2はシナプス前細胞に接続するGABA介在神経細胞を刺激することで、間接的にグルタミン酸分泌を抑制することを明らかにした。バソプレシン神経細胞内で、共通の前駆蛋白VGFから合成されるNERP-1とNERP-2は、異なる標的に作用して、共通のバソプレシン分泌抑制に機能することを明らかにした。 グラニン関連蛋白のin silico解析によって新たに、摂食抑制に機能するNHPを同定した。内在分子型解析により、新規NHPが主要な分子型であることを確認した。このNHPは下垂体と脳に豊富に発現し、脳室内投与により摂食を抑制した。このNHPは、摂食への行動意欲と関連する初期的知見を得ていることから、これまでにない摂食抑制ペプチドである可能性があり、その解析に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、我々が同定した2つのNHPが血糖調節に関与していることを明らかにした。またこのNHPの1つは、中枢で摂食にも機能することを明らかにしており、1つの分子が中枢で摂食亢進に、末梢でインスリン分泌を促して糖取り込みに機能することを明らかにした。グラニンファミリーから合成されるペプチドの生体における役割を決定するための、方向性を明確にした。NERP-1とNERP-2が、シナプス前細胞を介して作用する分子機序を明らかにし、パッチクランプ法とマイクロダイアリシス法を組み合わせた解析法を確立した。今後、神経伝達機能解析研究を効率よく進めることが可能となった。さらに本申請の主要な課題である、摂食に機能するペプチドの同定にも成功し、内在性の主要な分子型であることを確認した。本研究のin silico解析によって、さらにもう1つ候補ペプチドを同定済であり、当初の計画以上に伸展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度はこれまでに同定した生理活性ペプチドの候補について、ラット組織よりペプチドをcodeするcDNA配列を決定し、ペプチド前駆体構造を明らかにする。また同定したペプチドを化学合成し、家兎に免疫して特異的抗体を作製し、高感度測定系を開発する。この定量系を用いて、ペプチドの脳内および体内分布、組織含量、血中濃度を明らかにする。さらに合成ペプチドやその抗体をラット・マウスの脳室内および末梢に投与して、摂食、エネルギー消費、糖・脂質代謝、ストレス反応、血圧・循環調節、水・電解質代謝、睡眠・覚醒リズム、下垂体や消化管、膵ホルモン分泌調節作用などを解析する。引き続き、培養細胞分泌物や遺伝子情報から新規のペプチドを探索するとともに、新規ペプチドをリードペプチドとした化合物を作出し、臨床応用を目指した基礎研究にも着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、すでに同定していた2つのNHPの機能解析と作用機構の分子機序の解明が想定したよりも早く進行し、成果をあげることに成功した。また新たに発見したペプチドが、本研究の目的である摂食に機能するペプチドであったことから、その内在性解析と機能解析を中心に進めた。そのため、本年度実施予定であった、その他の候補ペプチドの合成や抗体作製、機能解析を次年度に繰り越した。また、動物実験施設の改修完了による実験機材の再セットアップを行ったため、動物の維持管理に人員を配置する必要が生じなかった。 備品は既存の設備にて研究遂行が可能なため、新たな機器の購入は不要である。次年度は、本年度に発見した候補ペプチドの合成と抗体作製、内在性の同定に必要な消耗品の購入、遺伝子操作マウスの作出を実施するとともに、継続した生理活性ペプチドの探索のために、行動薬理学的解析に向けた動物のin vivo実験とペプチド作用の分子機序解明に向けたin vitro 実験、ペプチド投与による遺伝子の網羅的解析、臨床試料の測定などに必要な試薬、器具を必要とする。旅費は、研究打ち合わせや成果発表に必要である。実験動物の管理補助のための謝金と論文投稿に対する支出を計上する。
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[Journal Article] Circulating des-acyl ghrelin improves cardiovascular risk prediction in older hypertensive patients2014
Author(s)
Yano Y, Nakazato M, Toshinai K, Inokuchi T, Matsuda S, Hidaka T, Hayakawa M, Kangawa K, Shimada K, Kario K.
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Journal Title
Am J Hypertens,
Volume: 27
Pages: 727-733
DOI
Peer Reviewed
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