2013 Fiscal Year Annual Research Report
多能性幹細胞(iPS細胞)を利用した脳梗塞に対する再生医療の開発
Project/Area Number |
25293308
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高木 康志 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40312227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 淳 京都大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10270779)
谷垣 健二 滋賀県立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (70362473)
荒川 芳輝 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20378649)
森實 飛鳥 京都大学, 学内共同利用施設等, 助教 (10528730)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 移植治療 / 胚性幹細胞 / 骨髄間質細胞 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
脳血管疾患は厚生労働省の人口動態統計における国民年間死亡原因の第3位を長年占めている。しかも、厚生労働省の介護給付費実態調査によると要介護の原因となった疾患の内約3割が脳血管疾患であり、特に男性においてはその割合は4割以上と報告されている。脳梗塞に対する再生医療の試みとしては、内因性神経新生を亢進させる方法と細胞移植の二つに大別されるが、内因性神経新生は非常に数が少なく、たとえ亢進できたにしても機能回復をもたらすのには十分でないと考えられる。そこで、脳梗塞後の機能回復のためには細胞移植を行う必要がある。細胞移植による神経再生については、1990年代末から2000年前後にかけて、胚性幹細胞(embryonic stem cell, ES cell)や骨髄間質細胞がneuronに分化する方法や可能性が報告され、飛躍的に研究が進歩した。これらES細胞由来神経幹細胞、骨髄間質細胞由来神経幹細胞を用いた脳虚血に対する移植の問題点を解決し、いち早い臨床応用を目指す研究とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に経過している。平成21年度は脳虚血後の血管透過性を左右するmatrix metalloproteinaseの役割を解明するためにその生体内の阻害物質であるtissue inhibitor of metalloproteinase (TIMP)の脳虚血時における役割をそのknockout mouseを用いて行った。その結果、脳虚血後再潅流における血管透過性亢進と神経細胞死にはTIPM-1が強く関わっていることが示されJCBF&M誌に掲載された。また平成22年度は骨髄間質細胞由来の神経幹細胞を脳梗塞巣に移植する実験を行った。骨髄間質細胞にNotch intracellular domain1を導入した神経幹細胞様細胞を一定期間培養し、そのコロニーを、マウス中大脳動脈閉塞モデルの外側線状体に移植した。すると移植細胞は生着し、さらに成熟神経細胞に分化しうることを見いだした。またこの移植後にマウスの行動解析結果に改善が得られること発見し、結果をJCBF&M誌に発表、そして細胞内抗酸化物質であるthioredoxin-1を過剰発現したTRX-1トランスジェニックマウスが、中大脳動脈閉塞による一過性脳虚血再潅流障害に耐性を持つことをBrain Res誌に発表した。現在、human iPS細胞由来の神経幹細胞を脳虚血モデルに移植する実験を行い、preliminary菜データを得ている。今後も順調な実験の発展を期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き以下の計画を予定している。①マウスES細胞をSFEB法で分化させ神経幹細胞のマーカーでFACS sortingを行い、viabilityや回収効率など至適条件を検討する。回収した細胞を脳虚血モデルに移植し腫瘍形成を解析する。またPET,MRIによる個体を生かしたままで腫瘍形成、生着を評価できるシステムを構築する。幹細胞のマーキングにはFeパーティクルを用い、細胞のトラッキングができるシステムを作る ②ヒト骨髄間質細胞由来神経幹細胞を神経幹細胞の段階でneurosphere cultureに持込み移植実験に用いる。ヒト骨髄間質細胞由来神経幹細胞においてはin vitroにおいてもneuron、astrocyte、oligodendrocyteへの分化効率、neurotransmitterの発現を検討する。またマウス脳虚血モデルに移植を行う。 ③一過性マウス中大脳動脈閉塞モデルを梗塞巣形成後も血流が維持されるモデルとして使用し永久マウス中大脳動脈閉塞モデルと移植細胞の生着範囲、分化を比較検討する。 ④国立循環器病センターと協力しマーモセットモデルの開発を行う。 ⑤ヒトES細胞由来神経幹細胞をマウスモデルに移植しその生着と分化を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画に一部遅れがあり、予算執行が遅れたため。 骨髄細胞静脈内投与研究における試薬、シリンジ、注射針などの消耗品に用いる。
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Research Products
(1 results)