2014 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼機能低下と動脈硬化・認知機能との関係:特に遺伝要因との交互作用の検討
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25293394
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 芳信 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (10144510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池邉 一典 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (70273696)
岡田 匡史 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (60733186)
権藤 恭之 大阪大学, その他の研究科, 准教授 (40250196)
神出 計 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80393239)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯学 / 歯数 / 動脈硬化 / 遺伝要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:動脈硬化性疾患の代表的指標である,頸動脈内膜中膜複合体肥厚度 (以下IMT)に着目し,口腔健康とIMTとの関係が,遺伝因子を考慮した上でも成立するのかを,量的遺伝学の手法を用い,検討することを目的とした. 方法:50歳以上を今回の分析対象者とした.最初の解析は,対象者全体において,年齢,性別,喫煙の他,歯数,平均歯周ポケット深さ,咀嚼能率など,それぞれの変量とIMT値との2変量間の関連を検討した.次に,ふたごという対象内相関を一般化線形モデルに取り込み,一般化推定方程式Generalized Estimating Equations (GEE)を用いて,口腔健康と動脈硬化の関連を検討した.本分析において,最大IMT値が1.0mmより高値である者を動脈硬化罹患群,1.0mm以下を動脈硬化非罹患群とした.さらに,一卵性ペア全体を抽出し,非喫煙者のみで,ペア間でのIMT値の差を目的変数に,同様にペア間での歯数の差を説明変数とした上で,ふたご内の差を用いた回帰分析を行い,これらの関連を検討した.いずれの検定においても有意水準は5%とした. 結果:被験者数は268名(平均年齢66.6±10.1歳)で,そのうち236名(男性:86名,女性:148名)が一卵性,32名(男性:16名,女性:16名)が二卵性であった.残存歯数は,平均21.2±9.0本であった.2変量間の関係では,高年齢,男性,喫煙経験あり,歯数が少ない,歯周ポケットが深い,咀嚼能率が低いほど,IMT値は有意に高値となった.GEEの結果,歯数,歯周ポケット,咀嚼能率は動脈硬化の罹患と有意な関連が認められたが,年齢,性別,喫煙の有無を調整したところ,歯数のみに有意な負の関連が認められた.5本を単位としたodds比は0.72 (95%CI: 0.52, 0.99)であった.最後に,遺伝因子が等しい一卵性ペア内の差を用いて回帰分析を行った結果,歯数の差は,IMTの差と有意な正の関連が認められた(p=0.01).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被験者のデータも順調に集まり,遺伝子の解析も順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今回は双子のデータを中心に解析したが,今後は80歳,90歳の疫学データの解析のスピードを速めて行きたい.
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Causes of Carryover |
被験者数が,予想を若干下回ったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
候補遺伝子の種類を増やし,遺伝子解析をより詳細に行い,遺伝・環境交互作用の解明ににつなげる.
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Research Products
(3 results)