2013 Fiscal Year Annual Research Report
味覚・嗅覚・咀嚼による感覚刺激入力の脳内処理メカニズムの解明
Project/Area Number |
25293409
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古郷 幹彦 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20205371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 晋 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 招へい教員 (00367541)
宮川 和晃 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50635381)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 口腔感覚 |
Research Abstract |
本研究では,味覚・嗅覚情報の低下が,咀嚼運動さらには三叉神経系ニューロン群の神経活動特性へ如何なる影響を及ぼすのかを検討する.本年度では,マウス・ラットによる行動生理実験において,1.短期間の亜鉛欠乏飼料給餌が血清亜鉛へ与える影響を確認した上で,2.摂食パターンへ如何なる影響を及ぼすのか,3.咀嚼機能低下の条件を再現した際に,亜鉛欠乏が体重増加へ与える影響を増強するのか検討した. SD系ラット7週齢を標準飼料給餌(CT)群,亜鉛欠乏飼料給餌(ZD)群の二群に分類し,8週齢時に採血を行った.ZD群の血清亜鉛値は,CT群に比較し有意に低値であり,血清総蛋白は両群間に差を認めなかった.次に,SD系ラット7週齢を標準飼料給餌(Po)群,亜鉛欠乏飼料給餌(ZD)群の二群に分類し,ZD群は8週齢時から標準飼料を与えた.8,9週齢時に日中および夜間の各4時間の摂食行動観察実験を行った.ZD群はPo群に比較し,体重増加量の減少,日中・夜間の摂食行動開始までの時間の短縮および4時間摂食量の増加を認めた.標準飼料へ変更すると,日中の摂食量および摂食行動開始までの時間はPo群と差を認めなくなったが,夜間の摂食量増加,摂食行動開始までの時間短縮は認められた.摂食率は日中・夜間ともPo群,ZD群間に有意な差は認めなかった.さらに,ICR系マウス3週齢を四群に分け,コントロール(CT)群,抜歯(Ext)群,亜鉛欠乏飼料給餌(ZD)群,抜歯+亜鉛欠乏飼料給餌(EZD)群とした.3~4週齢時の体重増加量は,CT群・Ext群に比較し,ZD群・EZD群で有意に少なかった.また,4~6週齢時,CT群・ZD群に比較しExt群・EZD群でも体重増加量が有意に少なかったが,7週齢時以降はCT群・ZD群とExt群・EZD群の間に差を認めなかった.12週齢時,標準飼料に変更するとZD群・EZD群は急激な体重増加を認めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
亜鉛欠乏飼料摂取による味覚障害モデルの摂食行動特性は、十分に検討できたが、咀嚼筋活動においては今後の検討課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
味覚・嗅覚障害が三叉神経系ニューロン活動特性に与える影響 妊娠後期 (E15~) Wistar系ラットを亜鉛欠乏飼料で飼育して出生したラット(味覚障害新生仔モデル:生後3-12日齢)を用いて三叉神経系ニューロン(運動ニューロン TMN, 中脳路核ニューロン MTN)を含む冠状断脳幹スライス標本を作製し、ホールセルパッチクランプ法を用いて以下の検討を行う。1.各日齢におけるTMN, MTNの平均直径(膜容量)を含む基本膜特性ならびにスパイク活動特性(活動電位、反復発射活動、バースト活動)について、味覚障害群と通常飼料で飼育、出生したラット(control群)より得られたデータと比較検討を行う。2.Orexin-A, Bをそれぞれ単独でbath内投与した際にTMN, MTNから誘発される内向き電流の変化、スパイク活動特性変化について同様に二群間で比較する。NPYについても、亜鉛欠乏状態で脳内でのNPY発現レベルが増加するとしたこれまでの知見を踏まえて、同様に二群条件下で修飾変化について検討する。3.生後8-10日齢のラットを用いて鼻粘膜処理による嗅覚ブロックラットを作製し4-5日後脳幹スライスよりMTNの神経活動を指標にOrexin, NPY投与による活動特性変化について正常嗅覚群と比較検討する。さらに、味覚障害群のラットに対して嗅覚ブロックを付与する条件(味覚+嗅覚障害群)を別に作製し、同様に薬剤に対する神経修飾効果について嗅覚障害群を含めた多群間で比較検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度では、パッチクランプ法を用いた電気生理学的実験が主体となり、消耗品に予算が多くかかるため、本年度分の一部を次年度へ繰り越した。 消耗品の一部として使用予定。
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Research Products
(3 results)