2013 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮民主主義人民共和国のアフリカ諸国に対する軍事支援や武器取引の調査
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25301021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Seigakuin University |
Principal Investigator |
宮本 悟 聖学院大学, 基礎総合教育部, 准教授 (70412137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池内 恵 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (40390702)
岩田 拓夫 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (60375384)
佐野 康子 獨協大学, 外国語学部, 講師 (90438812)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 北朝鮮 / アフリカ / 中東 / 武器輸出 / 武器不拡散 / 国連安保理 / 経済制裁 |
Research Abstract |
2013年度の研究実績の概要は以下の通りである。1.北朝鮮や中東・北アフリカ、サブ・サハラの書籍や新聞、論文などの収集と分析を行った。2.北朝鮮から亡命した元アフリカ担当の北朝鮮外交官に北朝鮮の武器取引や外貨稼ぎについてインタビューを行った。3.イランを訪問して、北朝鮮との武器取引や仲介などについてイラン外務省との意見交換を行った。4.それらの成果として、研究代表者と研究分担者で著書1点、論文2点、解題・翻訳1点、ニュースレター1点を発表した。 北朝鮮や中東・北アフリカ、サブ・サハラの書籍や新聞、論文などは研究代表者や研究分担者がそれぞれの分野で収集し、分析を行った。分析に際しては、研究協力者にも協力してもらい、より正確な分析を行った。それらの一部は、2013年度の内に著書や論文、解題・翻訳として発表した。 北朝鮮から亡命した元アフリカ担当の外交官に対する北朝鮮の武器取引や外貨稼ぎについてのインタビューは、2014年2月に研究代表者と研究協力者が韓国に行き、韓国政府機関の認定の下で行った。その記録は、次年度の研究成果に反映される予定であり、また国連安保理制裁委員会専門家パネルにも報告した。 2013年9月には研究代表者がイランを訪問して、北朝鮮との武器取引や仲介などについてイラン外務省の要人たちとの意見交換を行った。その成果もニュースレターに発表し、国連安保理制裁委員会専門家パネルにも報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2013年度は調査のみを予定していたが、論文やニュースレターのみならず、研究代表者が著書まで発表できたので、当初の計画以上に進展していると評価できる。 この著書では、北朝鮮の政軍関係だけではなく、北朝鮮の対外軍事支援を論じており、とりわけ中東・アフリカへの対外軍事支援や武器輸出について調査した限りの内容を盛り込んだ。このアフリカに対する対外軍事支援や武器輸出についての内容については、研究代表者にも問い合わせが続き、2014年4月13日に放映されたNHKスペシャル「北朝鮮 権力とカネの謎」でも参考にされた。研究代表者もまた経済産業省をはじめとして各地で講演し、その認知を広めている。2014年度にもすでに北朝鮮の対外軍事支援や武器輸出についていくつかの講演の予約が入っている。国連安保理制裁にもかかわらず、北朝鮮の武器取引が広範囲に行われており、アフリカまで及んでいることは、世間でも認知され始めたと考えられよう。とりわけ関連する日本の政府機関では、すでに深く関心を持って調査を始めている。研究事業の1年目から世間での認知度を大きく広めたことでも、当初の計画以上に進展していると評価できよう。 また、この科学研究費助成事業で収集した資料によって研究を進めるにつれて、北朝鮮のアフリカにおける武器取引や軍事支援だけではなく、北朝鮮の民事品の取引や現地の政軍関係なども副産物として判明してきた。それらも、研究業績として発表しており、予定外の研究成果を発表できたと評価できよう。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの調査や研究発表にともなって、北朝鮮の対外軍事支援や武器輸出について政府機関や報道機関での関心も高まった。そのため、日本の政府機関や報道機関と協力しながら研究を進める必要が出てきた。2014年度には、実際にアフリカ諸国に行って、可能な限りインタビューや資料収集を行うが、その際に日本の政府機関や報道機関の協力を得ながら、調査を進めていくことにしたい。それには、2つの利点がある。①研究者の身の安全を確保しやすいこと。②研究者が収集した資料だけでなく、政府機関や報道機関が収集した資料も参考にできること。2014年度以降では、政府機関や報道機関と連絡を密にしながら、調査を進めていくことにする。 また、調査地域を多少広げる必要がある。当初はアフリカが対象であったが、北朝鮮のもともとの武器市場である中東にも視野を広げる必要があることが分かってきた。国連安保理の制裁監視の強化によって北朝鮮による中東での武器市場が縮小しており、それが北朝鮮のアフリカへの武器輸出拡大につながっている可能性が否めないからである。2013年度には研究代表者がイランを訪問し、イランと北朝鮮の関係についても調査した。少なくとも北朝鮮とイランの関係が縮小傾向にあることはほぼ間違いないと考えられる。北朝鮮による中東での武器市場の縮小が、アフリカでの武器市場の拡大につながっている恐れは十分にある。 さらに、国連安保理の制裁の強化によって、武器だけではなく、民事品や労働力輸出によって北朝鮮が世界各地で外貨稼ぎをし、国連安保理の制裁の影響を抑えていることが明らかになってきた。この科学研究費助成事業では、民事品や労働力輸出を主たる調査対象にすることはできないが、調査の副産物として、これらの資料は確保しておく必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最近の円安によって、海外渡航費が急騰したことによって、可能な限り、国内での研究活動における研究費を節約した。また、2014年度においてはより大規模な海外渡航費がかかることを想定して、2013年度の費用を可能な限り節約することによって、2014年度の海外渡航費を捻出する必要もあった。研究費の節約は、書籍の購入を別の研究費によって賄ったり、可能な限りコピーやPDFなどで済ませることによって物品費を抑えることで可能になった。その結果、2013年度における研究費は、233,832円を残すことになり、これを2014年度の海外渡航費に割り当てることにした。 最近の円安によって、2014年度における海外調査で費用が予想外にかかることを想定して、旅費を多く見積もり、物品費を抑えることにしている。2013年度に残された233,832円を使用することによって、少しは財源的に余裕を持たせることが可能になった。それでも、2014年度の海外調査では、海外での書籍購入やコピーなども必要であり、かなり財源的に困難になることが予想される。そこで、海外調査に関しては、前に政府機関や報道機関の協力を得て、資料収集の費用を抑えて、訪問国を可能な限り制限することにする。
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Research Products
(6 results)