2015 Fiscal Year Annual Research Report
小口健康保険制度の導入と社会的ジレンマに関する研究―フィールド実験の手法を用いて
Project/Area Number |
25301025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福井 清一 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90134197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 加奈 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (00552001)
矢倉 研二郎 阪南大学, 経済学部, 准教授 (20454647)
山崎 幸治 神戸大学, その他の研究科, 教授 (30319818)
中澤 港 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (40251227)
三重野 文晴 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (40272786)
Maharjan K.・L. 広島大学, その他の研究科, 教授 (60229599)
高篠 仁奈 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80507145)
駿河 輝和 神戸大学, その他の研究科, 教授 (90112002)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小口保険 / インフォーマル保険 / 押しのけ効果 / 撥ね退け効果 / カースト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小口健康保険制度について、①これらの貧困削減スキームと既存のインフォーマルな保険制度とのトレード・オフ関係を行動実験の手法を援用して解明すること、②貧困層が小口健康保険制度に加入する決定因を、社会構造(カースト制度など)、リスク選好、時間選好などの要素を考慮に入れて明らかにすることを目的とした。 過去3年間の調査研究では、家計調査を実施すると同時に、連帯ゲームの枠組みを用いて、カンボジア農村とインド農村を対象に形成実験を行い、以下のような研究成果を得た。1)小口保険制度の導入とインフォーマルな所得移転とは、個人間のネットワークに着目するとき、必ずしもトレード・オフ関係(押しのけ効果)になく、むしろ、保険制度の導入とインフォーマルな移転所得との関係は補完的になる傾向が認められる。2)ただし、コミュニティーの中の不特定多数の他人への所得移転は、保険制度の導入によって減少すること(フレーミング効果)が、インド農村で確認された。3)小口保険に加入後、脱退した場合の所得移転の変化については、移転所得が再度増加するという事実は認められなかった。4)カンボジアでは、血縁関係などのインフォーマルな人間関係の絆の強さは、保険制度の導入に負の効果を持つ(撥ね退け効果)が、インドでは、このような傾向は検出されなかった。5)インドでは、カーストや宗教が移転所得の水準に影響を及ぼしていることが明らかとなった。 以上の分析結果は、いずれも、既往研究では見出されなかった新知見である。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Causes of Carryover |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)