2013 Fiscal Year Annual Research Report
離婚・別居後の面会交流と子どもの最善の利益についての国際比較研究
Project/Area Number |
25301044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
高橋 睦子 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (50320437)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 面会交流 / 子の最善の利益 / 国際比較研究 / 家族法制 / 高葛藤事案への対応 |
Research Abstract |
本年度は、離婚後の面会交流と子どもの最善の利益に関する基礎研究と海外現地調査(8月: イギリス、1月: フィンランド)を実施した。基礎研究は司法実務・家族法の分野での国内外の研究動向の把握とともに、法学研究、家族・児童福祉、臨床心理ならびに乳幼児児童精神保健の諸分野における研究知見の分析に取り組んだ。離婚・別離後の子どもの養育についての監護・親権研究会を1~2か月に一度の割合で主に京都で定期的に実施し、判例・研究文献を精読しつつ議論を重ねた。文献研究とともに国内外の専門家による講演会や研究セミナーを企画・実施した。オーストラリアの面会交流では子どもの安全と安定が重視されるようになり一部法改正も行われていることが、リサ・ヤング博士(マードック大)の講演会(8月、東京・京都)を通じて明らかになった。ロレーヌ・ラッドフォード博士(セントラル・ランカシャー大)の講演会(10月、岡山)では、イギリス(イングランドおよびウェールズ)での面会交流についての見解の対立の現実と子どもの安全の重要性についての調査研究が紹介された。さらに、マージョリー・フィールズ氏(元ニューヨーク州最高裁判所裁判長)の講演会(12月、東京)では、ニューヨーク州を中心にアメリカでの面会交流の司法実務の現状と課題について最新の情報提供を得た。これらの国際講演会から、共同監護制を基本としている司法制度のもとでは、子どもや同居親の生活の安定や安全よりも、むしろ、別居親と子どもの交流維持が優先されがちであることが確認できた。さらに、渡辺久子博士を講師に迎えての研究セミナー(2月、京都)を実施し、乳幼児の発達に関する理論と研究知見および高葛藤・逆境にある子どもへの臨床ケアの実情について乳幼児精神保健の領域からの知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複合領域にまたがる研究課題について、海外現地調査と講演会・研究セミナー等を通じての国内外の研究者や実務家との学術交流をほぼ計画通りに実施できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度での調査研究をさらに国内外で充実させ、研究成果の発表に重点的に取り組む。
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Research Products
(12 results)