2013 Fiscal Year Annual Research Report
アジアの河川流域における薬剤耐性菌の動態解析とβラクタマーゼ産生多剤耐性菌の調査
Project/Area Number |
25303019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 尚之 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90391614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 宏明 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70344017)
水野 忠雄 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (00422981)
井原 賢 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (70450202)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 薬剤耐性菌 / βラクタマーゼ / 多剤耐性菌 / 河川流域 |
Research Abstract |
本研究では,アジアにおいて地理的,社会的状況の異なる日本,中国,バングラデシュという3つの国を対象として,河川流域における薬剤耐性菌の動態について明らかにするとともに,これらの国における多剤耐性菌の存在実態とその多剤耐性菌のβ-ラクタマーゼ産生について調査することを目的とする。今年度は,以下の2つの項目について調査・検討を行った。 (1) 河川水および下水を対象とした薬剤耐性菌の検出方法の検討 河川流域における薬剤耐性菌の動態解析,多剤耐性菌として最も重要になると推察されるβ-ラクタマーゼ産生多剤耐性菌の存在実態について調査を行うことを目的として,培養法による薬剤耐性菌の検出法について検討を行った。このディスク拡散法について,臨床上重要となる基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)やメタロβ-ラクタマーゼ(MBL)といったβ-ラクタマーゼ産生耐性菌の検出方法について検討を行った。 (2) アジア諸国の河川流域における薬剤耐性菌の存在実態 アジアの河川流域においてサンプリングを行い,アジア諸国における薬剤耐性菌の存在実態について調査を実施した。平成25年度は,日本および中国においてサンプリングを実施し,日本では関西地域の重要な水域である淀川流域,中国は中国南部の大都市である深セン市を流れる深セン川流域において調査を実施した。ディスク拡散法を用いて,βラクタム系抗生物質の他,スルファメトキサゾール(SMZ),テトラサイクリン(TC),レボフロキサシン(LVFX)等の抗生物質への薬剤感受性について調査を行い,日本および中国における薬剤耐性菌の存在実態について比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,アジアにおいて地理的,社会的状況の異なる日本,中国,バングラデシュという3つの国を対象として,河川流域における薬剤耐性菌の動態について明らかにするとともに,これらの国における多剤耐性菌の存在実態とその多剤耐性菌のβ-ラクタマーゼ産生について調査することを目的とする。今年度は,(1) 河川水および下水を対象とした薬剤耐性菌の検出方法の検討,および(2) アジア諸国の河川流域における薬剤耐性菌の存在実態,という2つの項目について検討することを予定していたが,概ね予定通りに研究の進展が見られた。一方,バングラデシュでの調査については,バングラデシュ国内の政治情勢が不安定であったため平成25年度は調査を実施することができず,バングラデシュの研究者と今後の調査計画について協議を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては,(1) アジア諸国の河川流域における薬剤耐性菌の動態解析と抗生物質濃度との関連性,(2) アジア諸国の河川流域における多剤耐性菌の存在実態に関する国際比較,(3) アジア諸国の河川流域から単離された多剤耐性菌のβ-ラクタマーゼ産生,(4) 河川水,下水処理水中における薬剤耐性菌の消長に関する基礎的検討と考察,という4つの項目について研究を行う予定である。日本および中国の河川流域での調査を継続するとともに,バングラデシュでの調査については,バングラデシュ研究者と調査時期,サンプリング地点について綿密な協議を行い,今後の調査を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
薬剤耐性菌の遺伝子パターン解析のため,平成25年度にはパルスフィールドゲル電気泳動装置を購入予定としていたが,次世代シーケンサー技術をはじめとして近年急速に遺伝子解析技術の進展が見られており,最も適した遺伝子パターン解析を行うことを考慮してパルスフィールドゲル電気泳動装置の購入を見合わせていた。 平成26年度は,薬剤耐性菌の起源解析を目的として,薬剤耐性菌の遺伝子パターン解析を実施する予定であるが,次世代シーケンサーを活用した遺伝子パターン解析をはじめとして,パルスフィールドゲル電気泳動法,増幅断片多型解析法などを考慮して,最適な薬剤耐性菌の遺伝子パターン解析手法を導入する予定である。
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