2015 Fiscal Year Annual Research Report
狩猟採集社会の子どもの身体とフィットネス:人類進化の視座から子どもの健康を見直す
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25305003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山内 太郎 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (70345049)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 狩猟採集社会 / 子ども / 人類進化 / 栄養摂取 / 身体活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度は、政治状況ならびに現地カウンターパートの都合により昨年度に実施できなかったパプアニューギニアにおける現地フィールド調査を実施した。パプアニューギニア西部州に暮らす子ども(60名、主に小中学生)を対象として、身体計測、体力テスト、QOL質問紙調査、食事調査を実施した。 調査内容(項目)は以下の通りである。1. 身体計測(身長 [cm]、体重 [kg]、上腕囲 [cm]、上腕三頭筋皮脂厚 [mm]、肩甲下皮脂厚 [mm])を測定して、年齢・性による基準値と比較したり、WHOの成長曲線と比較したりして子どもの体格と栄養状態、成長状況について評価した。また、日本人の体力テスト(文科省「新体力テスト」)の項目から現地で実施可能な項目について、2. 体力テスト(握力 [kg] 、立ち幅とび [cm]、上体起こし [回/30秒]、立位体前屈 [cm])を実施した。そして、3. QOL調査(PedsQLを用いて、1.健康と活動[8項目]、2.感情[5項目]、3.他者との関わり[5項目]、4.学校[5項目]について、計23の質問項目)、さらに、4. 食事調査(1.24時間思い出し法、2.食物摂取多様性に関する質問紙調査)を実施した。これらについては、狩猟採集民や太平洋島嶼民のデータは少ないが、私たちが過去に実施したソロモン諸島(パプアニューギニアの隣国、メラネシア地域に位置する島嶼国)の首都ホニアラの小中学生のデータ、日本の子どもたちのデータと比較検討を行っている。 また子ども(男子)の身体活動として特徴的な集団猟(成人および青年が中心)について観察調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象地である太平洋島嶼国(パプアニューギニア)とサブサハラ・アフリカ(カメルーン)のいずれかにおいて調査を実施しており、H27年度は昨年度実施できなかったパプアニューギニア西部州で調査を実施できた。 H26年度と同様に、経済のグローバル化の影響をあまり受けていない、狩猟採集社会とは対照的に、急速な経済発展の渦中にある新興国(フィリピン、インドネシア)について視察を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、H27年度と同様、H28年度もフィールド調査を実施する。 H28年度は最終年度であることから、可能ならばカメルーンとパプアニューギニアの両方で調査を実施する。調査内容は測定系のものは最小限に抑えて、聞き取り調査に注力する。 国内およびフィールド現場でワークショップやシンポジウムを実施する。 学会発表、論文・著書の執筆を行い、成果を公開する。
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Causes of Carryover |
H25およびH26年度からの繰越金があったこと。また、H27年度は調査対象地の一つであるパプアニューギニア調査に注力したため、もう一つの調査対象地であるカメルーン調査を実施しなかったことから次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度は最終年度であり、可能であればサブサハラアフリカ(カメルーン共和国)ならびに太平洋島嶼国(パプアニューギニア)の両国で現地フィールド調査を行う。 成果発表として、国内および国際学会や研究会に出席し、研究発表を行う。また成果報告の出版として英語論文を投稿するための英文校閲や翻訳の費用、さらに学術図書の出版も考えている。
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Research Products
(10 results)