2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナイジェリア南東部で流行するラッサ熱の分子疫学・病態解析と迅速診断法の開発
Project/Area Number |
25305016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
安田 二朗 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (10282518)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ウイルス / 感染症 |
Research Abstract |
ナイジェリア南東部はラッサ熱の発生が非常に多い地域の一つであり、その致死率も他の地域に比べて著しく高い。本研究では、この地域に蔓延するラッサウイルスの分子疫学解析を行い、高価な特殊検査機器がなくても現地で迅速かつ簡便にラッサウイルスの検出・診断が可能なシステムを開発する。早期診断、早期治療を可能にすることで致死率を大幅に改善する。更に、重症化に関与する他の要因についても、(1)ウイルス株と臨床症状の関連性、(2)他の出血熱ウイルスの存在の可能性、(3)血中サイトカイン等と病態の関連性、(4)他の病原体の重感染との関連性(次世代シーケンサーを用いた病原体の網羅的解析)を解析することにより、多角的にその解明を目指す。本研究の成果は、ナイジェリア南東部におけるラッサ熱対策に直接役立つとともに、これまでほとんど解明されていないラッサ熱の病態の解明にも結びつくものである。 ラッサ熱疑い患者の血清サンプルを2011-12シーズンは56検体、2012-13シーズンは10検体入手し、RT-PCR法によるラッサウイルス遺伝子の検出を試みた。各シーズン1検体よりウイルス遺伝子の検出に成功し、Sセグメントの全塩基配列を決定した。その結果、両ウイルス株ともに2008年に同地域で分離されたラッサウイルス株と96%以上の相同性があり、大きな選択圧力を受けることなく類似のウイルス株が同地域で維持されていることが分かった。また、2012-13シーズンの10検体に対してラッサウイルス、リフトバレー熱ウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルスに対するIgMおよびIgG抗体を検出するELISAも実施したが、PCR陽性検体以外にウイルス抗体陽性を明確に示す検体はなかった。更に次世代シーケンサーを用いた病原体の網羅的解析にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたラッサウイルス遺伝子解析に加えて、予定を前倒しして次世代シーケンサーを用いた病原体の網羅的解析にも着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
ラッサ熱疑い患者の中には、未知、未同定の出血熱ウイルスが原因で同様の症状を呈している患者がいることもも否定できないため、次世代シーケンサーを用いた解析も行い原因ウイルスを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度をまたぐ海外出張が生じたため年度内に残額の確定ができず概算で大目に予算を残す必要があったことと、高額試薬の国内在庫がなく年度内納品が難しかったため次年度購入にまわしたため繰越金(次年度使用額)が生じる結果となった。 年度またぎの海外出張の次年度分の旅費および前年度購入を控えた高額試薬の購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)