2013 Fiscal Year Research-status Report
自己相似性をもつグラフ族の生成と構造的性質の解明及びその応用に関する研究
Project/Area Number |
25330015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
蓮沼 徹 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (30313406)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細分線グラフ演算 / 反復細分線グラフ / シェルピンスキーグラフ / 辺素ハミルトン閉路 / 中継数 / 連結支配集合 / 独立全域木 / 完全独立全域木 |
Research Abstract |
本年度はグラフ展開により生成されるグラフを調べるにあたって,細分線グラフ演算と呼ばれるグラフ演算を新たに独自に導入し,細分線グラフ演算を繰り返し適用することによって得られる,反復細分線グラフに関する構造的性質を調べた.反復細分線グラフを扱う主な理由は,反復細分線グラフはシェルピンスキーグラフ及び拡張シェルピンスキーグラフのクラスを真に含んでいること,反復細分線グラフの構造的結果の多くは容易にグラフ展開により生成されるグラフの結果に拡張できること,およびグラフ展開をそのまま扱うよりも考察しやすいことの三点である.本年度得られた主な結果は次の通りである. 1.辺素ハミルトン閉路とハミルトン連結:(1)グラフGの細分線グラフがハミルトン閉路をもつための必要十分条件は,Gがオイラー閉路をもつ全域部分グラフを含むことである.(2)Gにk個の辺素ハミルトン閉路が存在するならば,Gの細分線グラフにもk個の辺素ハミルトン閉路が存在する.(3)Gが強ハミルトンかつ強ハミルトン連結であるならば,Gの細分線グラフも強ハミルトンかつ強ハミルトン連結である. 2.中継集合と連結支配集合:Gの細分線グラフの中継数,連結中継数,連結支配数はいずれも2(|V(G)|-1)に等しい,ここで|V(G)|はGの頂点数である. 3.独立全域木と完全独立全域木:(1)Gの頂点vを根とするk本の独立全域木が存在するならば,Gの細分線グラフにおいてK(v)の任意の頂点を根とするk本の独立全域木が存在する,ただしK(v)はvから生じる完全グラフである.(2)Gにk本の辺素ハミルトン道が存在するならば,Gの細分線グラフにはk本の完全独立全域木が存在する. 特に,1(2)の結果と2の中継数に関する結果は既知のシェルピンスキーグラフにおける結果を一般していると同時に証明を簡易化している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に考察予定の,辺素ハミルトン閉路,中継集合,完全独立全域木について結果を出すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまずラベリングについて考察する.より具体的には,反復細分線グラフの彩色,辺彩色,全彩色,L(1,1)-ラベリング,L(2,1)-ラベリングであり,既知の結果の一般化,改良,さらには最適なラベリングに必要なラベリング数の確定を目指す. また,キューレイアウトに関する考察も予定しているが,これまでの準備状況から困難が予想されるため,直接細分線グラフを扱うのではなく,シェルピンスキーグラフS(n,3)の部分グラフを含む三角化カクタス等について考察することも考えている. さらに,進展状況によっては,反復細分線グラフの協定集合(alliance)と呼ばれる構造についても考察する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初2回の国際会議での研究発表を予定していた.辺素ハミルトン閉路,中継集合,完全独立全域木に関する結果については国際会議に投稿し受理され発表したが,その後ハミルトン連結,独立全域木に関する結果を得た時点では時期的に都合のよい(学内業務に支障のない)日程の国際会議を見つけることができなかった. 今後は,速やかに研究成果を国際会議で公表してゆく.
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