2015 Fiscal Year Research-status Report
セキュリティLSIに対するハードウェアトロイの対策と検出に関する研究
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25330162
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
吉川 雅弥 名城大学, 理工学部, 教授 (50373098)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ハードウェアトロイ / 暗号回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
リバースエンジニアリングの技術の進歩に伴い,ハードウェアトロイの脅威が顕在化してきている。一方,機密情報は,理論的に安全性が保障されているアルゴリズムを用いて,データを暗号化することで安全性を確保している。しかし,暗号化は回路で行われるため,その回路動作時の消費電力等を測定することで,不正に内部の秘密情報を解析する攻撃が研究されている。そのため,最近では暗号回路を対象に,いくつかの不正防止回路が開発され,実用化されている。そこで申請研究では不正防止回路も含めた暗号回路に対するハードウェアトロイの対策手法と検出手法を確立する。 平成27年度は,各サブテーマに関して,いくつかの要素技術を開発するだけでなく,平成25・26年度で開発した要素技術を用いた新しい技術の開発も行った。まず,対策技術に関して,平成26年度に検討した実用的なアプリケーションとしての車載ECUを対象としたトロイの対策技術を開発した。また,処理時間が問題になる車載システムについて,CANを実装したモックアップを用いた評価実験により,その有効性を検討した。一方,検出技術に関しては,これまで検討してきた消費電力等のサイドチャネル情報を利用したサポートベクターマシーンを用いた検出方法について,新たに回路のスタンバイ状態に着目した検出方法を考案し,トリガーや動作の異なった複数のトロイを,種類の違う複数のFPGAに実装して評価実験を行い,その有効性を検証した。さらに,トロイのFPGAへの実装方法による違いについても,面積や消費電力について,分析・考察を行った。本年度の研究成果については,平成25・26年度と同様に,関連する国際会議や国内会議で発表や情報収集を行った。また,ハードウェアトロイやハードウェアセキュリティの専門家だけでなく,ハードウェアトロイの対象となる組込システムの専門家とも,意見交換・情報交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画には無かった車載システムという実用的なアプリケーションを対象とした対策技術を新たに検討することができた。また,研究を進めていくうちに,検出タイミングと検出精度の関係性という新しい課題を発見し,回路のスタンバイ状態でのトロイの検出という新しいタイミングでの検出方法について検討ができた。トロイの実装に関して検討を進める中で,当初の研究計画には無かったトロイトリガーとトロイ動作の組み合わせで効率よく複数のトロイを実装する新しい方法を開発することができた。さらに,標準暗号だけでなく,軽量暗号を対象としたトロイの基本検討を行うことも出来た。一方で,当初予定では,スキャンパスチェーンの検討とトロイをASIC実装する予定であったが,これらが達成できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の平成28年度には,当初の計画だけでなく,これまで実施出来なかったトロイ検出用のスキャンパスチェーンについて研究を進める。また,ASICの試作については,平成27年度に開発した複数のトロイをトトリガーと動作の組み合わせで効率よく実装する方法を用いてFPGA実装することで代替する。さらに,これまで開発してきた対策技術・検出技術について,評価実験を通して完成度を高めてシステムとして完成させる。研究成果についても,適宜,暗号実装や設計技術に関係する研究会や国内会議・国際会議で発表するだけでなく,実用的な研究の出口として,車載システムでのハードウェアトロイの対策技術の研究も進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では,トロイを組み込んだ暗号回路を0.18umのASICで試作することを予定していたが,この試作を行わなかったため,関連する予算を平成28年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は,当初計画に加えて,研究を進めていく上で,新しく発見した課題に対する対策技術についても,学術論文・国際会議論文を含めた外部発表を行う。
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Research Products
(10 results)