2013 Fiscal Year Research-status Report
音声・音楽の統合処理による新しい人工内耳の情報処理方式の研究
Project/Area Number |
25330191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
北澤 茂良 静岡大学, 情報学研究科, 教授 (00109018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐山 伸也 静岡大学, 情報学研究科, 准教授 (20345804)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 人工内耳 / 音楽聴取 / 人工内耳音階 / MATLAB / 楽器 / 和音 / 歌唱 / 先天聾 |
Research Abstract |
人工内耳装用者のための音楽聴取支援装置として「懐名歌」を開発し、5月19日に愛知県の人工内耳装用者の会で支援装置の実演と口笛演奏が大好評であった。 人工内耳による音楽聴取の機構を推定するため、MATLABによる音響シミュレーションを開発し、我々の提案する人工内耳音階の効果を確認した。また、ACE方式とCSPE方式の特性を確認することが出来た。人工内耳のための音楽聴取に関しては、懐名歌による移調と速度調整の効果を再確認するとともに、個人ごとの特性を学習獲得できることを確認した。 楽器の種類による音楽聴取の特性を聴取実験で調査し、ピアノとギターの評価が高く、オルガンが低かった。和音付加について3度5度オクターブを比較し、和音がある方が評価が高く、オクターブ5度3度の順であった。合成音声に比べて肉声の歌唱が好まれ、人工内耳音階への移調が有効であった。男女の声質の好みは曲によりまた個人の好みによる。先天聾の小児の音楽聴取について調査を行い、人工内耳音階への移調が有効なこと、男声より女声を好む傾向があり、楽器の種類ではピアノとギターが好まれ、オルガンは不評であった。 静岡県立総合病院リハビリ室にて人工内耳装用者の協力を得て聴取支援装置による音楽聴取評価の実験を2回実施した。これらの成果を音響学会(豊橋)聴覚医学会(松本)にて研究成果発表。APSCI2013インドに採択され、11月発表した。調査協力者が限定されており、データ数は限定されているので、今後、より多数の被験者について調査する。 CSPE方式の音楽聴取向けの改善のため海外研究協力者と打合せ、進展中である。また、外部医療機関との連携を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
音声・音楽を統合した新しい人工内耳の情報処理方式の研究は基礎的検討の段階にある。まだ、研究発表する成果は得られていない。T.V.Sreenivas氏の来日は取りやめとなったため、数値解析的研究に代わって、内部処理モデルを構築することとした。 ACEとCSPEのシミュレーションは概ね完成したが、刺激パルス間隔を調整した効果はまだ解明できていない。 既装用者のQOL改善については、懐名歌を開発し、個別の被験者での試験に加えて、人工内耳装用者の集いでの実演、ネットで募集した装用者被験者にCDを送付して聴取評価を得る方法で、高評価を得ている。 連携研究者・研究協力者と密接に連絡を取りつつ研究を進めており、新しい人工内耳の情報処理方式の開発は前進しているので、本邦において我が国の新しい人工内耳の開発体制が構築されるための準備は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
聴取実験で得られた結果をシミュレーションして、同等な結果が得られるようにモデルを修正していくことが課題である。CSPE方式が音楽聴取に適していることを示すため、またCSPE方式を改善するために、海外研究協力者との共同研究を推進すること、生演奏の効果を得るために研究協力者と共にあらたな音源を収録すること。人工内耳装用者の聴取実験協力者を得ることが困難なため、医療機関の協力を得られるように要請中である。
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Research Products
(6 results)