2013 Fiscal Year Research-status Report
大自由度力学系のレアイベントサンプリングと極限リスク解析
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25330299
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
伊庭 幸人 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30213200)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | モンテカルロ法 / レアイベント |
Research Abstract |
マルチカノニカル・モンテカルロ法によるレアイベントサンプリングに関する最近の発展とこれまでの自分の研究をまとめた英文のサーベイ論文を執筆し、投稿・受理された(オンライン版公開、雑誌版印刷中)これにより、これまでの仕事に区切りをつけて、新たな研究を展開する下地ができた。 本研究計画の主要テーマのひとつである「現実的な極限事象に対する応用」について、大規模洪水のモデルをレプリカ交換モンテカルロ法で扱った研究を、東京で行われた国際研究集会で共同研究者が発表した。これはまだ手法的に不十分であるが、災害の問題に対して最初にアプローチしたものとして評価できると思う。 また、より現実的な問題に応用するため、新たな手法として「逐次モンテカルロ法を応用した逆方向解法」を考案した。これはまだ実装されていないが、狙い通りに行けば、各種のまれな災害やアクシデントのサンプリングと確率計算に応用できる可能性がある。当面の応用課題としては気象の問題を考えている。 レアイベントサンプリング全体に関する情報収集と研究交流のために、2015年3月15-16日に国際研究集会 Rare Event Sampling and Related Topics Iを立川の統計数理研究所内で開催した。今回は、分子系や非線形力学系でのレアイベントサンプリングについての専門家であるEric Vanden-Eijnden教授(クーラント研究所)をはじめ、分子シミュレーション関係の研究者、また気象の専門家にも講演を依頼し、交流を行った。このシンポジウムはシリーズ化して次年度以降も行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レアイベントサンプリングについての新しいアイディアを得たこと、これまでの成果を査読つき論文と会議録として発表したこと、国際研究集会を成功裡に開催したこと、などから、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
着想した逐次モンテカルロ法に基づく逆解法の手法を格子上のランダムウォークなどの簡単なモデルで実装しテストする。また、台風モデルを中心にこの手法の適用に適したモデル・事象を探索し、可能ならそれを実装する。また。第2回のレアイベント国際研究集会を開催し海外の有力な若手・中堅の研究者を招待する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際研究集会の開催が3月になり招待講演者の旅程の確定が遅れたこと、英文添削が論文の締切の関係で年度末に必要になることが予測されたことなどから、残額の予測に最後まで不定性があり、ある程度の余裕をみて執行せざるを得なかった。 代表者の出張旅費や情報提供者の旅費の一部として使用する。また必要があれば英文添削の費用にあてる。
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Research Products
(6 results)