2013 Fiscal Year Research-status Report
エモーショナル・フィットネス実践のための個人適応型最適運動強度及び運動方法の提案
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25330332
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
亀井 且有 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (20161234)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Anaerobic Threshold / 無酸素性作業閾値 / ニューラルネットワーク / 推定モデル |
Research Abstract |
AT(無酸素性作業閾値)とは、運動強度を徐々に上げることで、酸素摂取量を酸素消費量が上回り酸素不足となる直前の運動強度である。簡易なAT測定法として心拍二乗法があり、漸増負荷走行時における低負荷心拍二乗値および高負荷心拍二乗値の2つの回帰直線の交点からATを求めることができる。一方、走行速度と走者の心拍数二乗値の関係はシグモイド関数で近似できることから、シグモイド関数の4パラメータを実験的に求めることにより、2つの回帰直線を計算し、その交点であるATを求めることができる。 実験は、トレッドミルを用いて男子13名, 女子12名が4回ずつ計100回走行した。実験手順は、1.閉眼安静座位を5分間とった後に心拍測定、2.ウォーミングアップを5分間、3.4[km/h] から30秒ごとに0.1[km/h] ずつ運動速度をあげていき, 8[km/h] まで20分間走行、4.クールダウン、5.閉眼座位安静を 30 分間行う。その間、サンプリングタイム5秒で心拍を計測する。本実験から得られたATを実験無酸素性作業閾値 (AT*)と呼ぶことにする。 走行実験で得られた100個のデータから95個を用いて、学習データ50個とテストデータ45個に分け、入力を安静時心拍数、時速4[km/h]時の心拍数、時速8[km/h]時の心拍数の3変数、出力をATとするニュー ラルネットワーク(Spice-Neuro)と学習データ50個を用い、1500回の学習を行なった。この既学習ニューラルネットワークにテストデータ45個を入力し、その推定AT(AT~)と実験AT(AT*)と比較することにより、ニューラルネットワークによるAT推定モデルを検証する。その結果、AT~とAT*の相関係数は0.93を示した。 以上より、本研究で提案したニューラルネットワークを用いたAT推定モデルは高い精度を持つことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【実験ATの算出法の提案】AT測定法の一つである心拍二乗法を採用し、運動負荷-心拍二乗値の関係をシグモイド関数で近似した。また、漸増負荷走行データを用いたシグモイド関数の4パラメータ算出法を明らかにし、それらパラメータを利用して数値解析的に2つの回帰直線およびATの算出法を提案した。 【実験ATの算出結果】25名の被験者を用いて漸増負荷走行実験を実施し、必要な実験データを取得した。また、そのデータを用いて提案したAT算出法に適用した結果、実験ATを算出することができた。 【AT推定モデルの提案】3入力(安静時心拍数、時速4[km/h]時の心拍数、時速8[km/h]時の心拍数)1出力(推定AT)の階層型ニューラルネットワークを用いたAT推定モデルを構築し、取得データの中からランダムに50データ(学習データ)を選び、それを用いてニューラルネットワークを学習させた。学習結果の二乗誤差は0.0067であった。 【AT推定モデルの検証】AT推定モデルの精度を検証するため、残りの実験データ(テストデータ)45個を用いて、ATを推定した。推定結果の二乗誤差は0.0059であった。また、実験ATと推定ATの相関係数は0.92を示した。 以上より、本研究で提案したニューラルネットワークを用いたAT推定モデルは高い精度を持つことが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
【最適運動強度の決定】 エモーショナル・フィットネスのための最適運動強度を被験者(走者)にあまり負担にならない程度の実験を通して算出する手法を提案する。ここで、最適運動強度とは、走行終了直後の被験者のストレスが最低かつ快適度が最大となる運動強度であり、被験者個々で異なるATを基準値とする。また、被験者のストレス計測は唾液中のコルチゾール濃度、快適度は脳波(α波、ベータ波、θ波)から求められる2つの脳安静指数、心拍二乗値のフーリエ変換から求められるHF/LF値、あるいは被験者アンケートにもとづく二次元気分尺度を用いる。 【中高年齢者への適用】 これまでのデータ収集は大学生であったが、エモーショナル・フィットネスを最も必要とする中高年齢者に適用するための基礎実験の実施と基礎実験データの収集を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ解析のためMATLABバンドルパッケージ(245千円)を購入予定であったが、マイクロソフトエクセルとプログラミングにより購入の必要がなくなった。 国際会議への参加費用に使用予定
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Research Products
(3 results)