2015 Fiscal Year Annual Research Report
対イオンによるDNAの局所構造変化がタンパク質との相互作用や凝集に及ぼす影響
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25330338
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
谷川 雅人 大分大学, 医学部, 教授 (90332890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩城 貴史 大分大学, 医学部, 助教 (60416419)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | G-quadruplex / DNA / RNA / 円偏光二色性 / ストップトフロー / 分子動力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
円偏光二色性(CD)ストップトフローを用いて、一本鎖DNAおよびRNAが溶媒のイオン濃度や小分子との相互作用によってどのように構造が変化するのかを明らかにした。特にG-quadruplexを形成する配列に注目し、溶液の条件を変えることによってグアニン塩基間の相互作用が時間とともにどのように変化するのかを明らかにし、G-quadruplex形成過程を明らかにした。現在、この過程における溶媒分子やイオンの核酸高分子との相互作用をシミュレーションによって再現することにより明らかにしている。 G-quadruplexは翻訳制御や転写調節、ゲノム構造の安定性にに関係しているため、他の分子との相互作用がガンをはじめとする様々な疾病に影響すると考えられている。この研究では、TMPyPやirinotecan、NMN (Nicotinamide mononucleotide)などの分子がDNA oligomer tel22 (TAGGGTTAGGGTTAGGGTTAGGG)などのG-quadruplexを形成するDNAやRNAにどのように相互作用するかや安定性(中間生成物のギブスの自由エネルギーを含む)がどのように変化するかを対イオンの濃度を変えてストップトフローやCDスペクトルの熱融解曲線などで調べた。この結果、これまでG-quadruplexと相互作用が考えられていなかったNMNなどの多数の分子で相互作用を示唆する結果を得た。現在、さらに他のG-quadruplexと相互作用する分子をスクリーニングするとともに、この中で抗がん剤などの薬剤の候補となるものがないか確認実験を行っている。 この研究で、核酸が対イオンや小分子といかに相互作用し構造がどのように変化していくのかを明らかにすることができた。
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