2015 Fiscal Year Annual Research Report
「化学物質過敏症」を訴える集団における微量化学物質影響のリアルタイムモニタリング
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25340050
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
坂部 貢 東海大学, 医学部, 教授 (70162302)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 化学物質過敏症 / 自律神経機能 / 揮発性有機化合物 / 条件づけ / 体動 / 活動量 / 心身相関 / 嗅覚過敏 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境中の微量化学に対して「過敏症状」を訴える集団である「いわゆる化学物質過敏症」患者を対象として、日常生活上における化学物質曝露と自覚症状出現の相関性の有無について、自律神経機能の変動を主として測定することによりリアルタイム評価した。 研究結果は以下のとおりである。 1)総揮発性有機化合物(TVOC)の変動とホルター心電計を用いた自律神経機能の変 動とは、統計学的に相関する傾向がみられた。2)TVOCの変動と自覚症状の出現との相関については、統計学的有意差を認めなかった。3)患者が「不快な臭い」と感じる空気質では、自律神経機能変動が大きく認められた。4)TVOCの変動の強さと自律神経機能の変動とは、強く相関した。5)TVOCの変動の大きさ問題であり、TVOCの量とは相関しなかった。6)自覚症状の強さと、過去の心身医学的エピソードの強さとの間に、統計学的に有意な相関性が認められた。
以上のことから、本症は、環境中の化学物質による毒性学的な影響というよりも、むしろ、「臭い」が症状出現の契機となり、自律神経機能の不安定性が生じ、多彩な自覚症状が出現することが主病態であり、特に過去の心身医学的エピソードの有無が発症に深く関わることが示唆された。
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Research Products
(5 results)