2013 Fiscal Year Research-status Report
富山県の大気中におけるバイオエアロゾルの動態と環境適応能の解析
Project/Area Number |
25340055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田中 大祐 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (40360804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀谷 重浩 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (50272894)
中村 省吾 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (60134996)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大気 / バイオエアロゾル / 細菌 / 真菌 / 微生物群集構造 / 定量 / 季節変化 / 環境適応能 |
Research Abstract |
本研究では,富山県の平地にある富山大学の屋上を中心に,山岳高所にある立山でも大気試料を採取し,分子生物学的手法と培養法で細菌および真菌群集の季節動態を解析する。さらに,培養法で単離した大気由来細菌について,紫外線,乾燥,活性酸素種に対する耐性を調べ,大気環境での適応能力を評価することを目的としている。今年度は特に,富山大学屋上にて2011年4月~2013年10月に採取した大気試料について,細菌・真菌密度の定量とその季節変動の把握を目指した。リアルタイムPCR法による定量の結果,大気中の全細菌密度と全真菌密度はいずれも約100~1,000,000 copies/m3であった。また,富山県で黄砂が観測された2011年の5月2日と13日に,全細菌密度は最も高い値を示し,全真菌密度も比較的高い値を示したことから,黄砂と共に運ばれてきた微生物を検出した可能性が高い。さらに,全細菌密度は3年間とも春に,全真菌密度は3年間とも秋に定量値が最大となり,季節変化が認められた。一方,培養法による定量では,細菌はリアルタイムPCR法の結果と異なり秋にやや高い値を示したが,真菌はリアルタイムPCR法と同様に秋に最大値を示した。また,培養法で単離した細菌約300株の同定を行ったところ,Methylobacterium属,Sphingomonas属,Hymenobacter属,Bacillus属の順に高頻度に検出された。培養法で単離した真菌約300株の同定からは,約半数がCladosporium属であり,次にPenicillium属が多く検出された。現在,培養法で単離した細菌株の一部について,紫外線,乾燥,活性酸素種に対する耐性程度の測定を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リアルタイムPCR法による細菌・真菌密度の定量とPCR-DGGE法による微生物群集構造解析はおおむね順調に進んでいる。また,培養法で大気試料から単離した細菌について,紫外線,乾燥,活性酸素種などの環境ストレスに対する耐性を調べる研究についても,ある程度の研究結果が得られている。これらの研究成果の一部については,学会発表と論文投稿を行ってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
リアルタイムPCR法による特定分類群の定量を進めるとともに,アンダーセンエアーサンプラーを用いて粒径別に捕集した大気試料についてPCR-DGGE法による微生物群集構造解析を進めていきたい。さらに,立山と富山大学で同時に採取した大気試料の比較解析も進める予定である。
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Research Products
(2 results)