2014 Fiscal Year Research-status Report
堆積物コアを用いた有史以降におけるサンゴ礁生態系の長期変遷の解明
Project/Area Number |
25340060
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
藤田 和彦 琉球大学, 理学部, 准教授 (00343377)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 堆積物コア / サンゴ礁生態系 / 人為影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人口密集域である沖縄本島那覇市地域を対象に、サンゴ礁の埋立地で堆積物コアを掘削し、人為影響下におけるサンゴ礁環境の変遷と人為的影響の開始時期を明らかにすることを目的とする。本年度は、堆積物コアの堆積学的・微古生物学的・地球化学的分析を中心におこなった。 那覇市の埋立地(西町地区・若狭地区・那覇新港地区)の計7地点で掘削された堆積物コアから堆積物試料を一定間隔で採取し、粒度組成・有孔虫群集組成・XRDによる鉱物組成・EDXによる主要元素組成を求めた。また、コアに含まれる原地性サンゴ化石や貝化石の放射性炭素年代測定により堆積年代を決定した。 掘削された堆積物コアは、下位から上位へ、基盤(琉球層群石灰岩)、沖積層(サンゴ礁堆積物)、埋立層からなる。沖積層は主にサンゴ礫混じりの砂泥質石灰質堆積物からなり、原地性サンゴ化石や陸源砕屑物(主に石英粒子)を含む。西町地区の沖積層は、サンゴ礫や巻貝化石を含む砂泥質海成堆積物からなり、上位へ陸源砕屑物の比率が増加する。若狭地区の沖積層は、生砕物を多く含む黄土色石灰質砂泥からなり、上位へいくにつれて原地性塊状サンゴ化石や礁原の形成を示す大型有孔虫化石を含む。 那覇新港地区では、かつての河口付近・礁湖・沖のサンゴ礁(伊奈武瀬)で掘削した。河口付近の沖積層は、上方細粒化を示す堆積ユニットの繰り返しが認められる。上位へいくにつれて、陸源砕屑物の比率が増加する傾向にある。古礁湖付近の沖積層は、上方浅海化を示す有孔虫群集組成の変化や陸源砕屑物の増加が認められる。伊奈武瀬の沖積層は、主に原地性サンゴ化石(枝状ミドリイシ、塊状コモンキクメイシ、ニオウミドリイシなど)から構成され、水深数メートル以浅の礁嶺付近であったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
堆積物コアの分析が完了し、データを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、さらに分析試料を増やし、詳細を詰めていく。また、学会等で現時点での成果を発表する。終了時までには国際誌へ論文を投稿するとともに、マスコミ等を通じて一般向けに成果を伝える。
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Causes of Carryover |
分析に必要な消耗品費が予定ほどかからなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に予定している追加分析に必要な消耗品費用や放射性炭素年代測定依頼費用(一試料約60千円)に充てる。
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Research Products
(3 results)