2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金谷 久美子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80601137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 健夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70217933)
足立 雄一 富山大学, その他の研究科, 教授 (80184191)
濱崎 景 富山大学, その他の研究科, 准教授 (50533494)
大西 一成 鳥取大学, 医学部, 助教 (50596278)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ビタミンD / 妊婦 / エコチル / 黄砂 / 花粉 / アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
妊婦のビタミンD充足状況とアレルギー様症状との関連 環境省の子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)追加調査『黄砂と子どもの健康調査』にて収集された、妊婦の日々のアレルギー様症状のデータ3,363例の29,434回答から、2012年4月・10月、2013年1月・4月に採血をした妊婦の、採血後から3ヶ月以内の回答(793例の5,608回答)を抽出し、ビタミンD充足状況(血中25(OH)D 濃度)とアレルギー様症状発現との関連をみた。 25(OH)Dは、793例中575例(73%)で20ng/mL未満であった。一般化推定方程式により、ビタミンD不足(25(OH)D<20ng/mL未満)のアレルギー様症状発現(アレルギー症状スコア>0)リスクを、1.28(95%CI: 1.01-1.62, p=0.041)と算出した。ビタミンD不足群(<20ng/mL)では、花粉飛散時、黄砂飛来時ともにアレルギー様症状発現リスクが有意に上昇していた(OR 1.51, 1.27-1.79, p<0.001; OR 1.39, 1.18-1.64, p<0.001)。一方、ビタミンD充足群(>20ng/mL)では、リスク上昇は低減されており有意なリスク上昇は観察されなかった(OR 1.10, 0.76-1.60, p=0.61; OR 1.14, 0.78-1.66, p=0.49)。なおこの結果は、スギ花粉抗体価等で調整しても、同様であった。 以上、わが国の妊婦において、ビタミンD不足がアレルギー様症状発現リスクとなっていること、そしてビタミンD不足があると、花粉飛散時や黄砂飛来時にアレルギー症状発現リスクが有意に高まることを示した。ただし、ビタミンD充足群でのオッズ比95%信頼区間が広いため、ビタミンD測定サンプル数を増やした上で詳細な検討を行う必要があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、妊婦のビタミンD充足状況と黄砂や花粉への感受性の関連について解析を実施し、有意な結果を得た。ただ、妊婦の食事からのビタミンD摂取量については、データの固定が遅れているため、検討できていない。データ自体は入手できており、固定を待って解析したい。
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Strategy for Future Research Activity |
ビタミンD濃度と妊婦のアレルギー様症状について有意な関連を得たため、さらに詳細に検討すべく保管している血清にて追加測定を行う。 また、予定通り、妊娠中のビタミンD充足状況と、生まれてきた児のアレルギー疾患リスクの関連について解析を実施する。さらに、食事からのビタミンD量のデータが固定され次第、妊婦の経口ビタミンD摂取量やそのビタミンD不足への影響等の検討を実施する。 そして、妊婦でのビタミンD充足状況と充足状況を決める因子(経口ビタミンD摂取量/屋外時間/紫外線に対する考え方)、そしてビタミンD充足状況とアレルギー症状リスクとの関連について、国民に情報発信すべく論文として投稿し、また積極的に学会発表していく。
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