2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350137
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
横井 克彦 聖徳大学, 人間栄養学部, 教授 (10200883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
許斐 亜紀 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 講師(Lecture) (40529658)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 老化 / 微量元素 / 亜鉛 |
Research Abstract |
わが国では世界で最も早い速度で人口構成の老齢化が進んでおり、2007年には65歳以上人口が21%を超えた超高齢社会に突入し、2013年現在で65歳以上人口は25%に達し、さらに老齢化が進んでいる。この一方で、国民健康・栄養調査成績に見られるように栄養摂取状況が低下している。その中でも特に鉄と亜鉛の低栄養の問題が著しい。鉄や亜鉛の欠乏が老化促進の要因であるならば、当該栄養素の食事性補充によって老化の制御が可能となると考えられる。 メタロチオネインは抗酸化性を持つ低分子量のタンパク質であり、高用量の亜鉛ならびに銅、カドミウムによって誘導されることが知られている。しかしながら、従来検討されていた用量は、薬用レベルないし中毒レベルであり、栄養レベルの亜鉛がメタロチオネインの誘導に及ぼす影響は明らかではなかった。 そこで、亜鉛の欠乏の程度を、シグモイド曲線を用いた数学モデルによって定量的に解析する方法を考案し、指標の変化がおこるレベルを定量的に評価できるようにした。さらに、メタロチオネイン測定法の高感度化を検討した。その結果、栄養レベルの亜鉛用量に応じて肝臓ならびに腎臓中のメタロチオネインの濃度が著しく変化することが明らかとなった。また、この変化は体重増加量の変化がみられるよりも高い亜鉛レベルで生じ、成長量自体は正常域であってもメタロチオネイン量が不足する亜鉛摂取レベルのあることが明らかとなった。すなわち、限界域の亜鉛栄養状態ではメタロチオネインが不足し、十分な抗酸化能を備えていないことが示唆されたので、今後検討を続けたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
亜鉛栄養に伴う抗酸化能を示すと考えられるメタロチオネインが、亜鉛の栄養レベルで明確な用量反応関係を持っていることが当該年度の研究で明らかとなり、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
亜鉛については、亜鉛レベルと抗酸化物質であるメタロチオネインの間に明確な用量反応関係が存在することが明らかとなったため、メタロチオネインのゲノミクスにも焦点を当て、抗酸化物質としてのメタロチオネインの意義やメタロチオネイン結合亜鉛の代謝における役割、亜鉛関連酵素の抗酸化性について検討する。また、鉄についても検討を始めたいが、動物実験を行なうだけでなく、集団栄養状態から鉄必要量を解析する方法を開発済みであるので、それを用いて日本人の鉄の必要量の解析も合わせ行なう予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の早い段階で、亜鉛と明確な用量反応関係を示すメタロチオネインが見つけられ、予算を有効に使用することが出来たため、経費の一部に次年度使用額が生じた。 亜鉛については、関連酵素の抗酸化性や抗酸化物質であるメタロチオネインに焦点を当て、栄養レベルの亜鉛とメタロチオネインの間にどのようなメカニズムで用量反応関係が生じたのか、mRNA発現の面からも検討する。また、鉄についても検討を開始したい。このため、実験動物、試薬、器具等の物品費や委託解析等のためのその他経費を使用したい。
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