2014 Fiscal Year Research-status Report
中等学校における理科/科学教育カリキュラムと授業分析に関する実証的国際比較研究
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25350189
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
三石 初雄 帝京大学, 教職大学院, 教授 (10157547)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 科学教育 / 授業実践分析 / 授業研究 / 中学校教育 / 協動的学び |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、韓国においては、教育課程の段階的移行過程にあるので、2014年度には、中学校での科学教育カリキュラムの前段階である小学校科学教育課程とその実践に焦点を当てて、以下の2つの点から研究を行った。その際、ソウル大学Junehee Yoo氏との共同的研究をも継続して行ってきた。 (1)カリキュラム開発・評価に関する枠組みの定立と学校・授業に関する実態調査という小課題については、①日韓の国・地域レベルのカリキュラムや教科書等の比較研究の精査、②日韓校内授業研究に関しての生徒・教師対象の実態調査、③研究授業の指導単元に関する日韓の典型的授業実践プランの比較検討を学校訪問、聞き取り調査を行った。 (2)共同的学びを促す理科/科学授業実践とカリキュラム開発・評価に関する実証的比較研究という小課題に関しては、科学の授業に即した授業効果に関する実証的研究を行うとともに、教師の指導力量とその力量形成の核心部分に関わる聞き取り調査を行った。 そこでは、1つには実際の授業における教育活動のビデオ記録と訪問調査による授業分析の精査・考察、2つにはカリキュラムと学習計画と実践された授業実践との関連、その授業実践の効果について考察した。そして、これらを通して“協動的学び”の機会が生徒の理科学習に与えた認知・スキル面での効果とそこでの課題について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、韓国の中学校科学教育に関する授業の実証的研究であるが、現在、韓国の教育課程は、段階的に新カリキュラムに移行しており、中学校の授業自体が大きく変容しつつあることが分かってきた。 そのことに配慮して、2014度は小学校の科学教育課程の改革内容の整理を行胡ことの必要性から、小学校科学授業の課題を探ることを付加して研究を行った。従って、中学校科学教育自体の授業分析が、相対的に少なくなったことが主な原因である。 しかし、このことは現在の韓国における中学校科学教育の実態をより具体的に把握し、分析するためには不可欠な研究作業であり、日本の研究者による比較研究はまだ少ない状況であると思われる。従って、次年度もこの視点からの実証的研究を継続していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の韓国への学校訪問調査研究から、小学校の科学教育改革も急テンポで進んでいることが分かった。従って、2015年度においては、この点を考慮して、小学校の高学年の科学(理科)授業の実態把握を継続して訪問調査することを継続したい。 その際、授業分析では、①ビデオカメラ授業記録データの比較検討を行い、日韓理科授業の学習内容と指導方法に関する共通点と差異点、②教師等を対象とした聞き取り調査結果との整合性を総合・整理する。 また、上記の授業比較研究と調査訪問の結果を基に、①学習集団(small group)等の“共同的(協動的)学び”による学習効果の検討、②児童・生徒の“共同的(協動的)学び”のための学習材・学習環境の整理と、③理科/科学担当教師としての「力量」の在り方とその力量形成の過程と契機に関する検討・考察を行い、“共同的(協動的)学び”を支える授業研究のための教師教育プログラム開発の視点をまとめる。 なお、教科書の内容比較研究を継続して行うとともに、その学習内容についての教師の理解の仕方、深さの吟味ならびに、教材開発や授業研究への配慮事項に関しての聞き取り調査をおこない、教師教育における配慮事項の検討も行っていく。
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Causes of Carryover |
2013年度の基金分の残額があるため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度に、資料作成費(翻訳と通訳代金)として全額執行予定である。
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