2014 Fiscal Year Research-status Report
ICTを活用した天体観察法と太陽に関する教育用デジタルデータの開発と検証
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25350197
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
大山 政光 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (80332716)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 初中等教育 / 理科 / 天文 / 太陽 / 観察会 / 天体望遠鏡 / デジタルデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、観察会において対象天体を認識しにくい子どもにとっても分かりやすい観察の仕方を検討するため、公共天文台への視察と観察の仕方(撮影の仕方)の研究を行った。 まず初めに、高崎市少年科学館での視察では、一般の方が観察する際に、望遠鏡の種類によって、夜空のどの星を見ているのかをイメージするしやすさが異なるという意見を得た。この意見は、これまでの研究代表者の観察会経験を通して感じていた点と同じである。理由として、屈折望遠鏡の場合は鏡筒が長いため、どの方向から光が来ているかイメージしやすい一方で、反射望遠鏡は鏡筒が短くイメージしにくいこと、また、小型望遠鏡の反射望遠鏡は鏡筒の横から覗くタイプのニュートン式が多く、光の方向がさらにイメージしにくくなることが考えられる。そのため、どの星を見ているか分かりやすくするには、子ども向け観察会では屈折望遠鏡が適していると考えられる。(ただし、反射望遠鏡には、屈折望遠鏡とは違うワクワク感や感動はある。) 観察会中に光害をもたらす携帯電話を使用する保護者が多いため、携帯電話による写真撮影の時間、または、撮影用の望遠鏡を他とは少し離したところに設置することを計画した。これによって、光害の少ないエリア(望遠鏡)を確保できるという利点とともに、どの天体を観察しているのかをより把握しやすくなるという利点がある。一方で、携帯電話の光軸と望遠鏡の光軸を揃えることは難しく、撮影に時間がかかるため、人が並ぶ観察会では携帯電話による撮影を取り入れることは、不満感や困難さを新たに生じさせることになる。そこで、望遠鏡を用いた携帯電話による天体撮影法に関しての研究を行った。 さらに、太陽観測データの調査では、小・中学校で扱うプロミネンス、フレアに関連するプロミネンス放出を伴うフレアのイベントを調査し、動画作成をした上で小・中学校で実際に使用し検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
望遠鏡を通して見た天体像を携帯電話で短時間で撮影する撮影法を考案した。 この方法により、対象天体を認識しにくい子どもにとっても対象天体が分かりやすくなること、携帯電話による光害のエリアを減らせること、また、望遠鏡の光軸と揃えるのが困難で撮影に時間がかかる携帯電話を取り入れやすくしたことなどが利点としてあげられる。さらに、保護者のニーズにも応え、安心して観察会に参加してもらえる利点もあげられる。保護者のニーズに応えている理由として、小学校での観望会では必ず保護者が同伴する。観察会中の携帯電話の使用は控えていただくように依頼するが、実際には使用される方は多い。保護者側からすると帰りの連絡や他の理由によりやもえないこともあり、携帯電話を受け入れざるをえない状況がある。そのため、携帯電話による光害を伴っていたが、今回の研究で上記のように保護者のニーズに応え、光害の影響を減らすことができたる。 太陽観測データをもとに作成した動画を小・中学校現場で検証したところ、好評で子どもの反応や興味・関心が高いことが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
公共天文台の視察を継続して行い、子どもにとっての分かりやすい観察の仕方を検討する。また、太陽観測データをもとに、学校現場で活用できる教育用データを作成し、学校現場で検証を行う。 さらに、最終年度の今年度は、これまでの研究結果を学会、研究会において発表を行う。
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Causes of Carryover |
2015年3月に北極海での日食観測を予定していたが、現地でのホテルを確保することができなかったため、2014年度は断念し、2015年度に残すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年3月の日食観測のためのインドネシアへの渡航費または、9月にノルウェーで予定されている京都国際環境・エネルギーフォーラム(KIFEE)国際シンポジウムの教育セッションで研究成果の発表を行うための渡航費として計画している。
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