2013 Fiscal Year Research-status Report
“想定外”を科学する!-地震や自然災害に題材を求めて-
Project/Area Number |
25350200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
岡本 義雄 大阪教育大学, 教育学部, その他 (80291201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 明彦 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (70134252)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地震波形教材 / 教材用地震計 / Arduino / Processing / ノモグラム / 透明震源球モデル |
Research Abstract |
大阪管区気象台および,近畿地方の各気象台から,59型地震計の波形記録を取り寄せ,もしくは現地にて複写し,波形記録を教材として整理するとともに,中学・高校生用の地震波形の解析実習教材を作成した(2013年地球惑星科学連合大会,2013年AGU Fall meeting等で研究発表ずみ).この波形教材では,P波,S波の特徴の把握,PS時間の測定と震央の作図,M(マグニチュード)の測定,地震の震源メカニズムの推定などが行える.また,このMの測定のための,簡単な計算尺(ノモグラム)を新たに作成した(2013年地学教育学会全国大会にて報告ずみ).また気象台提供の多くの波形記録を今後の波形教材として使用するため整理中である. これとは別に,教材用の地震計を新たに開発し試作,観測試行中である.これは20年近く前に試作したものを,リニューアルしたもので,安価に入手できる材料で震動センサを構築し,リアルタイム表示や記録をPCで行うもので,以前のものと異なり,フリーソフト(Processing)の使用やArduinoという安価なAD変換基板を用いていて,PCの機種を選ばない特色がある.3成分の地震計センサの製作費用はわずかに数千円で,AD変換のICとアンプの基板製作費用を入れても,1万円未満という画期的な教材用の地震計である.さらに本格的な自然地震の観測も可能で,すでにチリで起きたM8.2,ソロモン諸島のM7.4などの地震を試験観測で明瞭に記録している.これも現在試作・観測試行中のものを2014年地球惑星科学連合大会で研究発表を行った. これ以外にも,100円均一ショップで入手できる材料で,簡単に作れる「教材用透明震源球モデル」を開発した(2014年地球惑星科学連合大会で発表ずみ).現在,これらの教材の使用マニュアルも作成中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
思いのほか多くの気象庁所管の地震波形が入手できた.教材用の地震波形教材の作成は終了し,学生,生徒に用いて実際の評価を行っている段階である. 教材用の地震計については,これも当初の予定以上に,学校に普及させやすい安価で,汎用の材料を用いた製作がうまく進行している.現在はこれも教材としての評価や改良,観測波形の収集に入っている.またこの安価な教材用地震計の特性比較のための本格的な地震計の製作が現在進行中であり,今年度前半には完成予定である.教材用の数値シミュレーションもコツコツと改良を行っており,実際の学生,生徒に見せて評価を行っている最中である.これらのことから初年度の研究計画の当初の目標は概ね達成できていると評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
気象台からの提供による波形教材の作成は峠を越えたので,今年度の当初の計画を遂行をまず考慮する. 教材用の地震計については,教材用の簡易地震計の試作が思いのほかよくできたので,地震計としての特性把握,観測波形の収集を行うのに平行して,比較検討のための本格的な教材用地震計の試作にも力を入れたい. 同時に,研究計画の柱である,「べき乗則」の様々な例を教材化する研究をさらに深化させる.その際,旧バージョンのPCでしか動かなかったプログラムを現行のPCやタブレットでの使用を考慮した形に改良する.同時に作成した教材を実際に学生,生徒に使ってみて改良しその評価も行っていきたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,教材用地震計との比較観測のための地震計のバネ製作用に購入を予定していた,特殊合金線(コエリンバー)が,開発機関(電磁材料研究所)の好意により,無償提供となったこと. 研究分担者との打ち合わせ旅費として計上していた経費が,打ち合わせの日程調整ができなかったため残った. 比較のための地震計製作の工具類,金属材料購入経費として使用する.また旅費分は研究分担者との打ち合わせに使用する予定である.
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Research Products
(7 results)