2014 Fiscal Year Research-status Report
新しい工学系数学基礎教育のための Calculus 教科書作成
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25350212
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤本 一郎 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (60319035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 和雄 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (00140533)
渡辺 雅二 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (30243546)
松浦 勉 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (80181692)
柳 研二郎 山口大学, 理工学研究科, 教授 (90108267)
戸田 晃一 富山県立大学, 工学部, 准教授 (20338198)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Calculus / 教科書作成 / 国際標準 / 応用力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成20年度における中央教育審議会答申「学士課程教育の構築に向けて」を受けて、文部科学省より日本学術会議に対して「分野別質保証」の策定およびコア・カリキュラムやモデル教材作成依頼がなされた。その背景には社会のグローバル化と大学のユニバーサル化が進み、我が国の大学学士教育課程システムの再構築が急務になって来ている現状がある。大学数学基礎教育においても、文科省の質保証への取り組みと共同して、海外での数学基礎教育を調査・情報収集し、それに基づいて国際標準に準拠したコア・カリキュラムを策定して標準教科書を作成することが急務である。我々のプロジェクトは日本数学会理事会の要望を受ける形で進められている。 特に、我が国の初年次教育は旧態依然としたカリキュラムの下に、世界標準の半分程度の授業時間数でなされている為、国際的な理学・工学研究者・技術者に必要とされる「数学運用能力」、特に「論理的思考力」や「応用力」を十分に身に着けることが出来ないまま専門課程に進み、その為専門課程において本来あるべきレベルの教育がなされずに卒業している現状がある。また、それに起因した我が国の国際競争力の低下が顕在化し、我が国の将来が懸念されているところである。 従って、我々の Calculus 教科書作成にあたっては、現在国立大では少数(京大をはじめ数校)ではあるが、殆どの私大で採用されている週2コマの標準カリキュラムにおいて、中堅理工系大学をはじめ広い学生層において柔軟に使用できるように、説明の行き届いた、独習が可能で応用分野への配慮が行き届いた我が国初の Calculus 教科書の作成を目指している。この2年間において、世界の大学数学基礎教育の現状調査を終え、教科書執筆の方は約半分程度の仕上がりである。最終年度は後半部分の編集と、全体を通じた原稿の推敲・校正を経て完成稿を仕上げることが出来るように計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この2年間、教科書編集会議は予定通り年4回開催し、その内2回は科研費から旅費を支出し、残りの2回は数学会の会合に合わせて開催した。(1年目は金沢、松山、岡山、東京で開催し、2年目は富山、広島、山口、東京で開催した。)又、出版社も数社の競合の中から決定し、工学系数学基礎教育研究会のHP作成も予定通り進んでいる。教科書の方は、現状では最初の5章までは演習問題解答も含めて執筆・編集共にほぼ完成している状況である。しかし、当初の計画では、2年目に教科書の原稿を仕上げて、3年目は編集・推敲に全面的に費やす計画であったが、研究分担者の内の一人(渡辺)が都合で編集委員を辞退し、他の一人の執筆委員の原稿は未だ執筆途中の段階にある。この為に、3年目の前半はこれらの未完成の原稿の執筆に費やされる為、後半部分(6章以降)の編集にかけられる時間は残りの半年しかない。この4月からRAを採用し、編集作業がスムーズに進むようになり、執筆委員全員の協力をお願いして本年度中の完成を目指す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年は3年計画の最終年度である。われわれの Calculus 教科書は米国等で使用されている1200頁程の教科書に比較すれば約700頁程度と約1/2~2/3の規模ではあるが、世界の標準レベルを落とさずに、我が国の環境に合わせた殆ど全ての学生に受け入れられるわかり易い教科書を作成するという作業は膨大な時間と労力を要する作業であることを痛感している。しかし、教科書のスタイルと執筆の流れがほぼ出来上がっているので、執筆・編集作業を加速することによって完成を目指したい。 又、幸い研究費に多少の余剰があるので、本年後半にあと一人RAを採用して編集業務を加速させることを考えている。
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Causes of Carryover |
現在作成中である「工学系数学基礎教育研究会」のHP作成費用(見積額:約35万円)を繰り越したことと、研究会講演者用の旅費を見積もっていたが実際使用しなかったこと、また編集会議を主催した場合は旅費を使わなかったこと等により旅費がある程度使用されずに残る形となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は、工学系数学基礎教育研究会のHP作成費の支出や、RAを複数採用したり、我々の教科書採択に向けた紹介活動、さらに追加編集会議を開催する必要性も考えられ、これらの制作・編集・宣伝活動に最大限に利用したい。
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Research Products
(1 results)