2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350229
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
菊地 洋一 岩手大学, 教育学部, 教授 (50241493)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水質分析 / 簡易分析 / 環境教育 / デジタルカメラ / 炎色反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,デジタルカメラを分光検出器として活用することにより,学校教育現場での水質分析の質の改善や新たな可能性を広げる実験法の開発を行うことである.平成26年度は平成25年度に引き続き,全体計画中の「課題(1)環境にやさしく簡便な新規比色抽出分析法の開発と水質分析への応用(以下 新規比色抽出分析法の開発)」と「課題(2)炎色反応を利用した金属イオン分析法の確立」に取り組んだ.具体的な内容と成果は以下の通りである. 1.「課題(1)新規比色抽出分析法の開発」は,一滴の有機溶媒で目的成分を抽出した後に,その有機相のデジタル写真を撮影し,有機相部分の色情報(RGB値)から比色分析を行うものである.平成25年度にはCuイオンの分析法について検討している.平成26年度はFeイオンの分析法を検討した.その結果,水相10 mLから有機相100 μL中にFeを抽出する抽出条件やデジタルカメラによる測定条件等の最適条件を決定した. 最適条件によりFe濃度0-100 ppbの範囲で良好な検量線が得られ,数十ppbのFeを高精度に分析できる方法を確立した.本法を河川水の分析に応用し良好な結果を得た. 2.上記,課題(1)の展開研究として,有機溶媒の代わりにアルギン酸カプセル(人工イクラ)を用いる方法についても検討した.その結果,楽しみながら水質分析を行う方法として,人工イクラの色を比色するFeの簡易分析法を開発することができた. 3.「課題(2)炎色反応を利用した金属イオン分析法の確立」では,Liを分析対象として高感度化に取り組んだ.測定条件の見直し,光学フィルターの活用などの検討を重ねた結果,共存金属の影響なしに数十ppbレベルのLiを高精度に測定する方法を確立した.本法を温泉水や河川水の分析に応用し良好な結果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では研究目的の達成のために具体的な3つの課題を設定し,それぞれの分析法の開発を行うことを予定している.平成26年度は,「課題(1)新規比色抽出分析法の開発」および「課題(2)炎色反応を利用した金属イオン分析法の確立」について検討を重ね,種々の成果を挙げることができた.さらに「課題(1)」の検討を進める中で新たな発想が生まれ,予定の研究に加えての新たな展開として,人工イクラを用いる方法についても検討し分析法を開発することができた.「課題(3)CODの簡易分析法の高精度化」については,基礎的な検討に着手したところである. 全体的には,本研究はほぼ計画通りに順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25,26年度は「課題(1)」と「課題(2)」を中心に検討を進めた.今後は「課題(3)」を中心に検討を進める.また「課題(1)」についてCu分析の高感度化が課題として残っているため,この改善に当たる.さらにそれぞれの方法の教材化の観点についても検討を進める.
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Causes of Carryover |
平成26年度に「課題(1)」の検討を進める中で新たな発想が生まれ,予定の研究に加えての新たな展開研究を行った.その 一方,「課題(3)」についての一部予定を平成27年度に繰り越すことになった.これに伴い次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に次年度使用額とした金額は,平成27年度補助金と合わせて研究実地計画に基づき使用する.具体的には「課題(3)」を進めるための物品費,研究全体の消耗品費,情報収集や成果発表のための旅費に使用する予定である.
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Research Products
(4 results)