2014 Fiscal Year Research-status Report
立体視と3D実物模型による伝統工芸技能習得支援教材コンテンツの開発
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25350339
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
中村 隆敏 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (70509786)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | デジタルコンテンツ / デジタルアーカイブ / 教材コンテンツ / 3Dプリンタ / インタラクティブデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、ろくろ伝統工芸職人と協力し、立体視撮影、及びハンディ型3Dレーザスキャナを用いて記録した。磁器はろくろを使った成形過程から乾燥過程を経て焼成されるが、その過程で常に変形が起こる。職人はその変形も計算に入れて最初の工程を行う。これも職人の経験と勘にたよるものであり、具体的な数値などの形式知で教える技術を職人は行わない。そこで、通常は触れることや目で追うことが出来ない変形の過程を3Dスキャナーで形状を立体形状として保存した。 立体視撮影は、レンズをコンパクトに収納した立体視撮影専用カメラを用いた。職人の視点に合うよう調節した後ろくろ作業を記録した。画質はフルハイビジョンで収録し、音声も同時収録していく。別途、実物模型制作のために、3Dレーザスキャナで実体物3Dデータをサンプリングし、3Dデータを修復、調整を行い3Dプリンタでの実体化を行った。師匠職人の仕事を目でみて憶えるというだけではなく、工程の変化を3Dプリンタで実体化した物体を触ることで、皮膚感覚を通じて何度も経験することができるようになる。立体視映像や実物模型などの情報は点でしかなく、職人が残す作業時の言葉等、要諦と関連付けることで連動型データベース化を実装できる。本研究は学習者が完成品に対する制作工程をイメージするための技能継承の具体的手引きのひとつとなる。また、伝統工芸教材におけるデジタルコンテンツは、学習者に対するコンテキストデザインも重要であり、実際のコンテンツ制作スタジオにおける視察や資料収集なども継続して行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度研究においては、ワークフローを基に職人視点による立体視作業映像の収録、作業途中の実物を3D 模型化できた。小型立体視カメラを磁器ろくろ職人の頭部に装着し、職人視点の作業工程を記録できた。作業経過の映像サンプリングと同時に、それを形づくる人間の手や指の運びの軌跡も同時に立体視撮影し、さらに教材として重要な工程毎に要諦の言語化を並行して行った。同時に重要なポイント毎に制作物の3D レーザスキャンニングを行うことにより、ろくろ作業で重要な変形状態、乾燥時の収縮状態を記録した。このデータを基に3D プリンタで実物模型を作成し、成形経過を皮膚感覚で確認できる教材のサンプルが作成できた。また、立体視や3D データからの実物制作を行っているコンテンツ産業のスタジオや研究施設の視察、ヒアリングができた。関係資料として、コンテンツ作成やアートやデザインの知見からの教材デザインに関する図書も導入できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は立体視と実物コピーの連携教材に発展させ、職人志望者等に実際に活用してもらい、その評価を行う。立体視による作業工程と3Dプリンタで出力した実物模型の相関、作業状態の天候、気温、湿度データなどの情報との関連付けも行う。また、本教材の使用者は伝統工芸に従事しようとする人たちであり、実際にろくろの練習をしながら、本教材を補助的に用いることを想定している。そのためタブレットを用いた分かりやすいインタフェースで活用できるデザインやデジタルアーカイブスやeラーニングとの連動などのアウトプットを具体的に検討する。
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