2014 Fiscal Year Research-status Report
多年度ステレオ写真解析による過去半世紀の南極氷床縁変動の追跡
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25350415
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤柿 教伸 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 助教 (70312410)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 南極氷床 / 地球温暖化 / リモートセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
南極・宗谷海岸地域を撮影した1960年代以降の空中写真をカタログ化した中から,ステレオペ解析に用いることが可能なセットについて抽出作業を行った.このアーカイブ作業が終了したのとほぼ同時期の2014年3月に,国土地理院が,第1次南極観測隊(1956年)以来ほぼ半世紀にわたって取得・整備してきた,地形図・空中写真・衛星画像・基準点測量等の成果の提供をWebサイトで開始した(http://antarctic.gsi.go.jp).提供されているデータのうち,地図画像は,これまでに作成した紙地図等の画像化データ(TIFF形式)であり,衛星画像と地形図を重ね合わせた地図もある.また,2006年から2011年に撮影された地球観測衛星「だいち」(ALOS)の衛星画像を使用して計測したデジタル標高データも提供されており,南緯約73度以北の東経約21度付近から東経約45度付近までの広範囲に及ぶ. そこで,この公開地理情報データが昭和基地周辺の南極氷床周縁部における過去数十年間の氷床の表面高度変化・末端変動を検出するうえでどの程度有用なのかを評価することを試みた.その結果,ALOS-DEMの処理において,基準楕円体高の扱いに不具合が認められること,異なる時期に撮影された画像のモザイクによって標高データが集約されているため,経年変化を追跡する目的には適さないこと,雪氷域のデータ精度が極端に劣化していることなどが明らかとなった. これらの成果をまとめて,雪氷学会および極域科学シンポジウムで口頭発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
収集・発掘・整理した多年度ステレオペア画像の評価と解析に加えて,国土地理院が公開した地理情報についても評価を行った.これは,初年度に構築した解析ルーチンのプロトコルの応用例でもあり,その有用性が確認できたことになる.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であり,成果をとりまとめる年度となるため,これまでの成果をとりまとめて学会発表および論文の執筆を進める. なお,所属が変更となったため,これまでとは作業環境も変わるので,再構築する必要がある.
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Causes of Carryover |
収集した画像データのアーカイブ化および画像解析の作業支援のための人件費を計上していたが,公開データを取得できたことにより,研究代表者のみの作業で完了できたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額は少額であり,最終年度に予定しているの備品の購入や論文投稿費で消化する.
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Research Products
(3 results)