2013 Fiscal Year Research-status Report
不確実性を考慮した確率的沿岸浸水リスクの時空間評価手法の開発と活用法
Project/Area Number |
25350503
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
信岡 尚道 茨城大学, 工学部, 准教授 (00250986)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 津波 / リスク / ハザードマップ / 確率 / 不確実性 / 高潮 |
Research Abstract |
津波・高潮の確率的ハザードマップ、確率的リスクマップの作成を、茨城県の沿岸を対象に試行的開発を行った.確率については、自然的発生要因に基づくものと、過去の観測値を極値統計理論に適用した結果に基づくものの二つがあるが、本年度は特に後者を対象におこなった.津波に関しては、茨城県大洗港およぼその周辺での観測値、痕跡記録をもとに、極値統計でおこなったが、元のデータの不確実性のみならず、数百年に一度未満の極めて稀な発生確率を求めるには、極値分布関数の最適解を求めることは困難である.そこで、検定で棄却されなかった関数は将来起こりえるものとして不確実性と考えて、想定される津波高に幅を持たせる手法を用いた.高潮については茨城県の境に位置する小名浜港と銚子漁港の観測値も踏まえ、沿岸の高潮確率分布を、極値統計理論を対象に求めた.これらの結果をもとに、100年に一度から1万年に1度までの確率における、沿岸域の確率的想定浸水域(確率的ハザードマップ)、人的被害や物的被害を予測した確率リスクマップを作成した.100年、1000年、10000年に一度の3種類程度なら確率の幅を持たせたマップでも認識できる範囲が人いことを確認した。ただし作成したマップには、確率の幅を含めている、つまり同じ確率でも浸水域が広いものから狭いものまであるとのように、複雑な内容になった.国民とのリスクコミニュケーションの視点から、この作成したマップは専門家が使用または、専門家が国民に丁寧に説明するためにのみに使用するなど制限をかける必要があるものになった.しかし、減災の優先順位を決める政策支援ツールとなりえること、また画一的な大規模災害想定に避難を完全に諦める国民にリスクとして伝えることから、リスク低減の避難と理解を促すことなど、様々な面で活用できるものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標は極低頻度の発生頻度までを対象とした津波と高潮の確率的ハザードマップを、陸上浸水まで数値シミュレーションを用いて示すこと、浸水域の異なる確率は、ハザードエリアで色や模様を変えて示すが,不確実性の幅の表現方法などは,試行錯誤して開発することであった.津波・高潮に関する確率的な浸水予測、被害予測を不確実性を考慮して開発でき、それらを判別できる確率的ハザードマップも作成できたこと、次年度の計画に変更の必要性がないことから、「(2)おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
国民と専門家のリスクコミニュケーションを上位の条件において、計画に従って、H25年度の手法に海岸構造物を導入、および社会・自然シナリオの導入を進め信頼性のあるものを開発していき、実用性の高いものにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入予定データの改定が年度末に行われたため、H25年度は購入しなかった。 購入予定データを購入する。
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