2014 Fiscal Year Research-status Report
除皮質ラット灌流標本を用いた吸啜・咀嚼運動の生後発達変化の解析
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25350622
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中山 希世美 昭和大学, 歯学部, 助教 (00433798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢澤 格 昭和大学, 医学部, 兼任講師 (40360656)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 口腔顎顔面 / 頸部 / 神経活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
吸啜運動や咀嚼運動は、その性質上、呼吸運動や嚥下運動と密接な関わりがある。本年度は、口腔顎顔面から咽喉頭部までを含めた広い範囲での運動の協調を調べるための実験を行った。除脳ラット経動脈灌流標本を用いて、左側の横隔神経、上喉頭神経、舌骨下筋群を支配する第一、第二頸髄神経の枝(C1-2)、舌根を支配する舌下神経 声門の開大、閉鎖を支配する反回神経から吸引電極を用いて複合活動電位を記録した。その結果,横隔神経の吸息性活動とほぼ同期して、全ての神経で呼吸性活動が記録された。 灌流液に曝気する二酸化炭素濃度を上昇させ、灌流液のpHを7.2に低下させると、呼吸頻度は15%減少した。また,全ての神経の活動の振幅は増大した。横隔神経の活動を基準として各神経の活動開始のタイミングを比較すると、pHの低下により、横隔神経の活動より上喉頭神経およびC1-2の活動が、より先行して見られるようになった.これらの結果から、pHの低下により中枢の化学受容野が刺激され、呼吸数の変動や神経活動の振幅の増大を引き起こし、また顎顔面や頸部の筋肉と横隔膜の活動タイミングに変化を起こすことが示唆された.一方で、二酸化炭素濃度上昇に用いる混合ガスでは酸素分圧が低下するので、酸素濃度低下により末梢の化学受容器である頸動脈小体、大動脈体が興奮し、呼吸パターンに影響する可能性がある。そこで、二酸化炭素濃度を変化させずに酸素濃度を低下させたガスを用いて同様の実験を行った。その結果、呼吸数,神経活動の振幅、神経活動の開始のタイミングに有意な差は見られなかった。これらの結果から、pHの変化が顎顔面を支配する神経や頸部を支配する神経の活動タイミングを変調させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載したとおり、除脳ラット経動脈灌流標本を用いることで、吸啜運動を行っている時期である新生ラットからの神経活動の記録のみならず、咀嚼運動に摂食運動の様式が以降した後である、生後4~5週齢のラットでも神経活動の記録が出来るようになった。また、口腔顎顔面領域や頸部の神経から、広く同時に神経活動を記録することも出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、脳内の神経回路の局在を調べるため、脳内イメージングを行う予定である。申請時には、カルシウム感受性色素や膜電位感受性色素を取り込ませることを計画していた。しかしながら、色素の取り込みが上手くいかない可能性があるため、ウィルスによる蛍光カルシウムプローブの脳内への導入を計画している。
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Causes of Carryover |
今年度は、研究室にすでに存在した物品を用い実験を行ったため、新たに買い足したものが少なかった。また、論文には他の予算を充てたため、当該研究費からの支払いが減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は、新たにイメージング実験のための色素やウィルスベクターを購入しなければならず、その費用に充てる。また、論文投稿のための費用としても使用する。
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