2013 Fiscal Year Research-status Report
超高速統計学習に基づく下肢筋電を用いた立ち上がり動作補助システムの基盤的研究
Project/Area Number |
25350669
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
福見 稔 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (80199265)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 筋肉電位 / Simple-FLDA / 統計学習 / 足首動作 |
Research Abstract |
まず,筋肉電位(以後,EMGと略記)計測システムで,立ち上がり動作の際に使用する主要筋肉である8カ所(足首EMGとして,ヒラメ筋,内側腓腹筋,前頸骨筋,長腓骨筋,大腿部と背部のEMGとして,大腿二頭筋,内側広筋,大臀筋,脊柱起立筋)のEMGを同時計測した.この8チャンネルEMG計測システムは購入したP-EMGを用いた.乾式センサの取り付け位置は足首EMGの場合,可能な範囲で足首に近い場所に取り付けて計測した.これは実用性を高めるためである.実際に計測した足首EMGにより,足首の3動作(ニュートラル,底屈,背屈)を高精度に識別できる可能性を確認した. 次に,無理のない立ち上がり動作を行う際の下肢動作のモデル化の条件を検討し,基本的な動作の解析方法を検討した.このために,計測したEMGで全周波数成分を用いた主成分分析を行い,まずは,上記の足首3動作の固有空間での位置関係の解析を行い,立ち上がり軌道に関して筋力の変化を確認できるかを確認した. 上記の解析を行った後,統計的学習法であるSimple-FLDA(フィッシャー判別分析の近似法)による学習で足首3動作を学習させた.このために立ち上がり動作を幾つかの段階に分解し,パターン分類の形式で統計学習を行う必要がある.まず最初は,足首の分類に特化して解析を行った結果,100%に近い分類が可能であることを確認した.ただSimple-FLDAはパターン分類には最適であるが連続状態推定には必ずしも適合しない.そこでSimple-FLDAで固有ベクトルを学習し,その固有ベクトルと入力との内積値を線形フィルタであるADF (Adaptive Digital Filter)の入力とするシステム構造を検討した.この仕組みにより,連続動作が推定可能であるか否かを翌年度以降に確認する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
足首の3動作の分類をまず最初に行った.その結果,足首の動作を高精度に行えることを確認できた.また,購入したP-EMGを用いて乾式センサにより,比較的に良質なEMG信号を計測できることも確認した.足首動作を固有空間上に配置する主成分学習を実施し,固有空間上で分離可能な状態で配置できることを確認した.これにより,連続動作時に固有空間上で連続的な動作を追跡できる可能性が高まった. 今後は,連続動作を解析するための下肢動作のモデルを検討して行く予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
従来の研究では足裏にかかる圧力を考慮せずに,立ち上がり軌道の最適化を行っている.そのため,下肢の重心位置に制約があり,立ち上がり動作の軌道が不自然になる場合が考えられる.したがって本研究では,要介護者の重心位置を制限しないモデル化を検討する.この際に,立ち上がり軌道(各関節の移動・角度のモデル)と各骨格筋の筋力推定モデルを作成するが,要介護者の下肢筋力と重心位置の変動の関係を考慮する必要がある.最初は,Simple-FLDAでの固有ベクトル学習と線形ADF(ARX型:自己回帰型の略称)の組み合わせで検討し,筋力推定が可能か否かを検討する.不十分な場合には非線形モデルを検討する. この際,足首3動作の分類方法を基本とし,連続動作のモデリングを行う方法を検討していく.この場合,固有空間上での連続動作の変化を解析し,モデリングを行う方法を検討する.また,立ち上がり動作の解析に必要なEMG計測位置も再度検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に所属学科の学科長を拝命していたため,人事委員会・学科長会・工学部執行部との打ち合わせ等の数多くの会議への出席義務が生じ,予定していた年度末の学会参加・研究打ち合わせ(研究支援者への指導を含む)等が困難となり,次年度使用額が発生した. 今後必要となる学会発表・研究打ち合わせのための旅費および,研究支援者への謝金として活用予定である.
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Research Products
(3 results)