2014 Fiscal Year Research-status Report
附属小学校との連携によるフェアプレイの般化を促進する体育授業の構築
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25350724
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
上野 耕平 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (20311087)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 鬼ごっこ / 援助行動 / 向社会的行動 / 自己効力感 / スポーツマンシップ / 体育 / フェアプレイ / なかま鬼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年の研究目的は,研究1年目の成果をもとに「フェアプレイに注目した運動あそひ」を実践すると共に,その評価を試行的に実施することであった。 まずフェアプレイに注目した運動あそびとして,本研究者は昨年度の研究において「他者を助けることに注目した鬼ごっこ(なかま鬼)」を開発していた。そこで本年は,本研究者が所属する大学の附属小学校に通う2・3年生児童のなかから希望者を募って実施される「キッズスポーツアンドスタディサポート」において,なかま鬼を実践した。鬼ごっこでは,逃げ手が鬼から逃げることを前提としているが,低学年では自分が鬼に成りたいがために,鬼に捕まろうとする児童もいる。そこでグループ対抗戦とするなど,なかま鬼の実施方法を工夫することにより,より「他者を助ける行動」に対して児童の注意が向くよう改良を加えた。 次に運動あそびの評価に際しては,上述した活動において昨年度作成した「児童用援助自己効力尺度」を使用し,援助行動に関する自己効力感を評価すると共に,なかま鬼における援助・被援助頻度,援助時の肯定的感情等について調査した。その結果,援助行動を含まない鬼ごっこである「しっぽ取り」では実施前後において援助自己効力感に有意な変化が認められなかったのに対して,なかま鬼では実施前後において有意な変化が認められ,援助自己効力感の肯定的変容が認められた。参加児童数が十分ではなく未だ確定的な結果とは言えないが,今後よりデータを増やすことにより,近い将来に児童の援助自己効力感に対するなかま鬼の効果を確認できると考えられる。 これまでの研究により,「なかま鬼」の実践方法はほぼ確立されたと言える。従って今後は研究の切り口をやや増やし,援助自己効力感に影響を及ぼす経験内容のほか,なかま鬼の運動量や運動発達的視点から見た場合の位置づけなどについて,他領域の研究者の協力を得つつ,明らかにしていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
附属小学校との連携によるキッズスポーツアンドスタディサポートも予定通り実施し,データを収集することができた。また「なかま鬼」及び「児童用援助自己効力感尺度」も作成することができており,順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を学会等で報告したところ,なかま鬼の利用可能性について予想以上の反響があり,特に指導現場の教員からすぐにでも実施したいといった評価を沢山頂いた。そして,これまで想定していたフェアプレイに関する効果の評価もさることながら,他の鬼ごっこと比較して,運動量においてどのような違いがあるのか,また発達上,どの学年で実施するべきなのかなどについて,他領域の研究者との共同研究により,明らかにしていく必要性が認められた。従って今後,研究の切り口を増やすことを検討している。
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Causes of Carryover |
海外で学会発表を実施する目的で旅費を算出していたが,海外での発表を延期したため,差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年7月にスイスで開催されるヨーロッパスポーツ心理学会において発表予定であり,その際の旅費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)