2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25350727
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西村 秀樹 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (90180645)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大相撲 / 八百長 / 勘定相撲 / 引き分け八百長 / 祝祭 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度 (27年度) は、資料を補足的に蒐集しながら、細かい点を確認・修正した。 「八百長」に対する態度には多様なものがあったことが示すように、かつては、大相撲の八百長は公然の秘密であったことは間違いない。現在では、協会は「故意の無気力相撲」という言葉を使い、「八百長」という言葉を口に出すことさえタブーとし、厳然たる八百長の排除へと躍起になっている。ここに、協会自身および世間一般、ひいては公益法人認可にかかわった諸団体が、近代的な眼で大相撲を純粋なスポーツとして見ていることが反映されている。こうした八百長を大相撲「頽廃」へと短絡的に結びつける立場から脱して、大相撲のなかでの八百長の歴史的位置づけをきちんとおこなったときに、大相撲の真の伝統文化としての姿が見えてきた。それについて簡略に言うならば、大相撲興行が「スポーツ性」と「芸能性」を兼ね備えた「祝祭」であるという点と関連していることにほかならない。 大相撲における「八百長」について歴史社会学的に検証することが、本研究の目的であった。明治時代から大正・昭和 (戦前) においては、「八百長」はどのような形態・方法でおこなわれていたか、協会はそれに対してどのような処置を下してきたか、マスコミおよび観客はどのような態度を示してきたか - 「是」としたか「非」としたか、「是」とする際はどういう場合か - 等について角界の組織風土を交えて考察し、純然たるスポーツには還元できない大相撲の伝統的な「文化性」を明らかにできたと考える。
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