2015 Fiscal Year Annual Research Report
運動に対する動機づけの無意識的な活性化に関する研究
Project/Area Number |
25350729
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤田 勉 鹿児島大学, 法文学域教育学系, 准教授 (30452923)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動機づけ / 非意識過程 / プライミング / 活性化 / 乱文構成課題 / 体育 / スポーツ / 潜在指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、運動に対する動機づけの無意識的な活性化の実証について、先行研究で実証されてきた個人要因に関する言葉に加えて、環境要因に関する言葉によっても動機づけが無意識的に活性化されるのか、また、活性化の程度に個人差があるのかを検討することであった。 27 年度は、環境要因に関する言葉によって動機づけの無意識的な活性化の実証を試みた。研究の方法は、健康な大学生を被験者とした実験法であった。実験では、IPANATにより、潜在的動機の個人差を測定し、その後、乱文構成課題を実施した。先行研究では動機づけにおける個人要因に関する言葉のみが実証されてきたが、実践的な視点からすると、個を取り巻く環境要因の影響は切り離せない。そこで本実験では環境要因に関する言葉(指導者や仲間の言動を表す言葉)で作文する課題を実施した。具体的には、実験群には、「ほめられる」など、動機づけの環境要因と呼ばれる言葉を、統制群には、動機づけとは無関係な言葉を乱文構成課題の中に組み込んだ。 乱文構成課題終了後、被験者は自転車エルゴメーター運動を10分間実施した。エルゴメータ運動では、快適自己ペース運動に倣い、自分自身にとって快感情が得られるペースにて運動するよう教示した。結果は、有意な交互作用が見られ、実験群は統制群よりも、心拍数の上昇の程度が有意に高く、運動終了直後の心拍数も有意に高かった。しかしながら、潜在指標の個人差は被験者の心拍数に影響を及ぼさなかった。これらのことは、環境要因に関する言葉によって、動機づけが無意識的に活性化するが、活性化の程度には個人差がないことを示している。
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