2014 Fiscal Year Research-status Report
地域スポーツガバナンスの新構築による震災復興への寄与に関する研究
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25350754
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
中村 祐司 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (50237442)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地域密着型スポーツ / 地域スポーツ行政 / 地域スポーツ事業 / 震災復興 / 政策過程 / 地域ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、地域密着型スポーツに注目し、プロスポーツの変容と総合型地域スポーツクラブに焦点を当てた。前者については住民、企業、行政が三位一体的にプロスポーツクラブを支え、盛り上げていく下地が形成されるようになったこと、後者については地域ごとの多様性に合った形での住民による参画を前提とする地域密着型スポーツへと転換しつつあることを指摘した。住民,企業,行政,競技団体,NPO,ボランタリー組織といった関係者間での新たな連携・協働によって地域を支え,公共的価値を実現していく。それが現代における地域スポーツ事業の時代的要請であると位置づけた。 次に、スポーツ活動を通じた震災復興に何らかの形で関わってきた実践者とのインタビュや現地で得た資料をもとに、それらを整理・提示し、こうした作業を通じて見出されるところのスポーツ事業が復興に果たす役割について考察する際の素材を提供した。久慈市におけるスポーツ施設、宮古市における港湾スポーツ設備、南三陸町におけるスポーツ活動拠点の復旧事業、石巻市における復旧スポーツ教室事業の展開、登米市における行政の総合型クラブ支援、仙台市市民局文化スポーツ部が主導する復興スポーツ支援事業、相馬市における総合型クラブの奮闘を取り上げた。いずれの現場においても、それがハード事業かソフト事業かにかかわらず、震災からの復興の確実な一助となっていることが見て取れた。 さらに、震災後に福島県福島市や同郡山市における草の根の組織的スポーツ活動を通じて、避難所支援に尽力した従事者とのインタビュと活動実践記録にもとづき、そこから再確認された地域社会における総合型地域スポーツクラブ等の活動が有する社会的価値を提示した。スポーツ事業を通じた避難者支援からは、復興支援活動においてスポーツが果たすことのできる役割や価値が浮かび上がった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで現地調査や資料収集の実施の機会は持ったものの、日程確保の都合等により関係者へのインタビュなどが十分にできたとは言い難い。研究成果についても、学会報告や複数の単著論文を作成したものの、体系的な視点からの本テーマに関わる多角的なアプローチには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
たとえ現地調査を行うためのまとまった日程の確保が難しくても、日帰りや1泊2日程度で現地を積極的に複数回訪問することで、論文作成や研究活動に支障をきたさないような工夫を行う。 震災復興をめぐる風化傾向が避けられない中で、本テーマを追求しつつ、とくに復興五輪に関連して、たとえば東京における五輪関連施設の建設ラッシュと被災自治体におけるハード面の整備事業の遅れとの対照性に注目した研究にも力を入れていきたい。
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Causes of Carryover |
当初予定と比べて、現地調査や資料収集のための機会が減ったこと、また、備品・消耗品等の支出が既存のものを利用したことにより少額であったことから、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現地調査やおよび資料収集の機会を積極的に確保する。また、本テーマにおける研究でこれまで使用していた老朽化した備品等の更新を行う。
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Research Products
(4 results)