2013 Fiscal Year Research-status Report
低酸素(高地)トレーニングの効果を高める至適条件に関する研究
Project/Area Number |
25350759
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
杉田 正明 三重大学, 教育学部, 教授 (60235885)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低酸素環境 / 自転車駆動運動 / 酸素飽和度 / トレーニング負荷 / 最大酸素摂取量 |
Research Abstract |
常酸素と低酸素環境3条件における各環境下で運動を行った際の酸素飽和度等から、環境(酸素濃度%)と運動負荷と生理的指標の相互関係について明らかにし、酸素飽和度85%とした時の運動強度を求め、この方法で求めた運動強度の妥当性を検証することを目的とした。 対象者は健常な男子学生10名とした。常圧低酸素環境(標高1500m、2500m、3200m相当)となる低酸素テントを用いて、自転車エルゴメーターを用いた運動を常酸素環境含めた4条件下で多段階漸増負荷試験を行い、各生理学的指標を測定した。運動継続時間の平均値は、常酸素、標高1500m、2500m、3200m相当の低酸素環境下4条件の順に9.7(±0.9)分、9.5(±0.8)分、9.2(±0.9)分、8.9(±1.0)分であり、標高3200m相当の環境下の方が常酸素環境下よりも有意(p<0.01)に短い値を示した。最大酸素摂取量(VO2max)及びオールアウト時のSpO2の平均値は常酸素>1500m>2500m>3200m相当の環境下の順で大きく、4条件間でそれぞれ有意(p<0.001)な差が認められた。以上の結果をもとに、対象者の標高2500m、3200m相当の低酸素環境下2条件におけるSpO2の値が85%に達する運動負荷(watt)を求め、上限30分の自転車駆動を行わせたところ、両条件ともに10名中8名がSpO2を85%~75%に保ちトレーニングを遂行することができたが、2名は途中で中止した。トレーニング中の%VO2maxの平均値は、標高3200m相当の低酸素環境下の値(43.1±3.9%)の方が標高2500m相当の値(74.5±10.1%)よりも有意(p<0.001)に低い値を示した。今後は目標とするSpO2の水準を複数設定してトレーニングをある一定期間実施した際の効果を比較検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
常酸素と低酸素環境3条件における各環境下での環境(酸素濃度%)と運動負荷と生理的指標の相互関係について予定通り明らかにすることができた。 当初は低酸素環境3条件で行う予定であったが、標高2500m、3200m相当の低酸素環境下2条件における酸素飽和度-運動負荷から酸素飽和度85%とした時の運動強度を求め、この強度でトレーニングを行わせた。この方法で求めた運動強度の妥当性を検証することができた。 設定した酸素飽和度85%は、標高が2000m以上でないと設定強度が高く現実的でないため2条件とした。この辺りは引き続きの課題であるといえる。 今後は目標とするSpO2の水準を複数(例えば90%、85%、80%など)設定してトレーニングをある一定期間実施した際の効果を比較検討していく必要性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
低酸素環境(酸素濃度%)と運動負荷と生理的指標の相互関係について明らかにすることができたので、酸素飽和度85%となる妥当性のある負荷決定法も昨年度の研究から導き出すことが出来た。 次年度では、同じ低酸素環境下で酸素飽和度-運動負荷から求めた酸素飽和度90%と85%、80%とした時の運動強度を求め、この強度で一定期間のトレーニングを行わせた際のトレーニング効果を検討することとする。この場合、同一被検者で2~3つのトレーニング実検を行うのは現実的でないため、各群で被検者を設定しトレーニング効果を群間で比較することがよいと考えている。 設定する酸素飽和度となる負荷を決定したら、出来る限りトレーニングに入ることが望ましくタイム管理を含めたマネジメントを確実に行うこと、十分な安全性を確保するように努めたい。
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