2014 Fiscal Year Research-status Report
離婚後の面会交流のあり方と子どもの心理的健康に関する質問紙とPAC分析による研究
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25350921
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
野口 康彦 茨城大学, 人文学部, 教授 (30434541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 聡 大正大学, 人間学部, 教授 (40327987)
小田切 紀子 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (10316672)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 親の離婚 / 面会交流 / 発達 / 子ども養育 |
Outline of Annual Research Achievements |
質問紙による量的調査研究については、「離婚後の親子の面会交流と子どもの発達」という題目にて、日本心理臨床学会第33回大会(平成26年8月24日)にて口頭発表を行った。また、発表内容については論文としてまとめ、「心理臨床学研究」誌に投稿しており、平成27年4月27日現在査読中である。 平成26年度の主な調査は、親の離婚を経験した当事者に対するインタビュー調査であった。4人の大学生を対象として、1人につき2時間程度で、計3回のインタビューを行った。分析の方法としては当初の予定通り、PAC(Personal Attitude Construct)分析を用いる。また、PAC分析以外にも、複線径路・等至性モデルを使った分析を試みたいと考えている。 離婚後の親子の面会交流を支援しているNPO団体など、第三者機関を対象にインタビュー調査を行い、面会交流の内容や方法についてインタビューのまとめや考察を行った。具体的には、平成26年7月19日に、当事者を支援する2人の方にインタビューを行った。最初に訪れたのは「チャンス&チャレンジ」であり、江崎路子代表理事とスタッフの志水久夫氏に対応していただいた。次に訪れた「NPO法人あったかハウス」では、事務局長の山田修暉氏にインタビューを受けていただいた。インタビュー調査については、「離婚後の親子の面会交流と子どもの心理発達-2つの支援機関のインタビュー調査から-」という題目で、『茨城大学人文コミュニケーション学科論集』第18号(pp45-62)に掲載された。 また、海外における離婚後の子どもの養育の実態について理解を深めるために、平成27年2月9日にノルウェー・オスロ市内に位置するBufetat(子ども青少年家庭課)を訪問した。訪問の目的や現地スタッフへのインタビューについては、平成27年10月発行予定の『茨城大学人文コミュニケーション学科論集』第19号に投稿の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量的研究である質問紙調査については、再度の調査を行ったことにより、634名の有効回答数が得られ、76名の親の離婚経験者の協力者を得ることができた。統計学的検定を実施するうえでは、十分な人数の確保ができたと言えよう。 個別のインタビューである質的な調査については、質問紙調査の回答者から4人の協力者を得た。親の離婚後に面会交流を経験した人という条件付きであったので、調査協力者の数が少なくなったのは否めないが、1人につき3回程度のインタビューを行っており、個別のインタビュー内容を丹念に検証するうえでは十分な人数である。 当初は平成27年度に実施予定であった、面会交流を支援しているNPO団体など、第三者機関を対象にインタビュー調査を平成26年度に実施できた。上述したように、インタビュー内容について、「離婚後の親子の面会交流と子どもの心理発達-2つの支援機関のインタビュー調査から-」と題した論文をまとめたことも、本研究の成果を発表する機会となった。 外国旅費として計上していた旅費については、子どもの人権が法律に明文化されているノルウェーを訪問した。ノルウェー王国大使館のサポートを受けながら、オスロ市内に位置するBufetat(子ども青少年家庭課)を訪問できたことは、今後の我が国における離婚後の子どもの養育支援において有用な示唆を提示する契機となるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度を本研究の最終年度としているため、研究の完了とまとめを行う。親の離婚後も、子どもの発達が保障され、より良い福祉的ケアがなされる養育のあり方についてその政策のあり方を含めた提言につなげる目的も本研究にはあるので、ノルウェーへの再度の訪問を8月に予定している。その成果については、9月に開催される日本家族研究・家族療法学会にて発表をする予定である。また、4人の大学生が調査協力者となった質的調査においては、12月に開催されるPAC分析学会にて発表し、学会誌への投稿を検討している。さらに、面会交流支援機関であるNPO法人「あったかハウス」のスタッフとの交流が継続していることから、当該施設への再度の訪問と調査も検討している。
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Causes of Carryover |
次年度に使用額が生じた最も大きな要因は、インタビューによる質的な調査協力者が関東周辺に在住していたことから、調査に関する旅費が当初の計画よりもかからなかったという点にある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
先述したが、本研究の成果により、親の離婚後も、子どもの発達が保障され、より良い福祉的ケアがなされる養育のあり方について、その政策のあり方を含めた提言も行いたい。そのため、離婚後の親子の面会交流や養育支援について、海外の状況や実態について理解を深めるために、再度のノルウェーの訪問を行いたい。なお、訪問にあたっては、ノルウェーの子ども養育支援に関する専門機関として、子ども虐待保護課や子どもオンブッドを予定している。
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Research Products
(2 results)