2013 Fiscal Year Research-status Report
企業の人事マネジメントと女性のキャリア形成の変遷に関する国際比較分析
Project/Area Number |
25360046
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
石黒 久仁子 文京学院大学, 外国語学部, 准教授 (90573915)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | キャリア / 人的資源管理 / ジェンダー / 雇用 / 労働 |
Research Abstract |
本研究は、企業人事部門への聞き取り及び女性社員へのライフ・ヒストリー・アプローチを用いたインタビューを中心に、日本・フランス・スウェーデンの大企業における女性のキャリア形成の過程を分析し、今後女性が企業社会で活き活きと活躍するための方策について考察することを目的とする。 研究の初年度となる本年度は、各国の女性に関する福祉・社会・雇用政策についての全体的把握、統計資料の収集と分析、日本・フランス事例の追加調査と新たなデータ収集及びスウェーデン調査の準備を中心に研究を進めてきた。また、研究の方向性と分析視角・内容についてのアドバイスとフィードバックを得、本研究のテーマであるジェンダーと労働に関してより広い知見を得ることを目的として、American Sociological Association (8月)、Work Employment and Society(9月)、Association for Asian Studies(3月)の三つの学会に参加し、研究内容の発表とともに、関心を同じくする研究者との交流をはかった。質的調査方法を用いて人々のキャリア形成と企業人事マネジメントについて分析するオリジナリティの高さは評価された一方、鋭い分析視角で比較調査を進めていく必要性が強調された。 論文発表としては、「フランス企業における管理職への女性の昇進についての考察」(『文京学院大学外国語学部短期大学紀要』、第13号 pp.47-62(査読有))が挙げられる。 以上のように、平成25年度は次年度調査の基礎固めの期間であったが、ほぼ計画通り実施できた。今後国際比較調査において、日本・フランス・スウェーデンの3か国に加えて、他ヨーロッパ諸国についても対象に加える可能性なども含め、更に各国データの収集と先行研究のレビューを進めて、次年度の研究活動に活かしていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は本研究の初年度にあたり、次年度(平成26年度)実施の本調査への準備が主な活動内容となった。 先ず、日本・フランス・スウェーデンの三カ国についてのデータ・情報収集に加えて、更に他の国々の状況を把握するべく、より広く女性とキャリア/雇用/マネジメントに関する先行文献のレビューに努めた。 また、既に実施している日・仏調査については、その後追加の調査(電話・Emailによるヒアリング、日本企業については訪問企業の再訪など)を行い、研究初期の段階からは更に視角を広げて分析を実施している。(「フランス企業における管理職への女性の昇進についての考察」(『文京学院大学外国語学部短期大学紀要』、第13号 pp.47-62(査読有)として発表、American Sociological Association、Work, Employment and Society学会にて発表。) 次年度(平成26年度)実施予定のスウェーデン調査については、日本国内、欧米の研究者とのコミュニケーションを通じて情報を収集すると同時に、本調査をより効果的・効率的に実施するための方策について模索した。特にスウェーデン調査については、本研究テーマに関連し、国際比較調査を実施している研究者とのネットワークを広げ、新たな知見を得ることを目的として、年度末にAssociation for Asian Studiesに参加した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究はおおむね予定通りに実施されており、平成26年度はフィールドリサーチを含めて、国際比較調査を実施し、翌27年度については成果発表を中心に研究を進めていく予定である。 また、ここまでの研究内容と分析から、平成26年度は、更に以下について実施していく予定である。1) 日本・フランス調査について、更にデータをアップデイトする。2) より深く分析を進めていくために、女性とキャリア/マネジメント/ライフコースなどに関する先行研究・文献のレビューを継続して進める。3) 国際比較調査に、英国をはじめとする他の国々を候補に入れることを視野に入れ、フィールドリサーチのスケジュール、内容を精査し修正していく。 尚、本研究は現代社会において喫緊の女性のキャリア形成を題材としており、国内外の様々な機会を用いて研究成果を発表していく必然性がある。大学・学会関連に限らず、発表・討論のできる機会を積極的に探し、成果を社会に還元していきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度次年度使用額が発生した事由として以下が挙げられる。1) データ収集・先行文献レビューにあたって、歴史的経緯を中心に、所属研究機関・外部図書館所蔵の文献・資料を主に使用したため、予定額より低い金額となった。2) パソコン・ソフトウエアを予算額より低く購入したことに加え、スキャナ・プリンタについては次年度に持ち越して購入することとした。3) 国内研究会の開催が東京であったため、国内旅費等が発生しなかった。4) 学会参加の為の論文についての文書校閲料金が生じなかった。 次年度使用額については、26年度に予定されている活動の中で、1) 新刊文献・資料の購入、2) 学会発表論文、質問票、プレゼンテーション資料の校閲、3) 調査旅費、4) 国内学会・研究会参加旅費・費用、5) スキャナ・プリンタ・コンピューターソフトウエアの購入などに使用し、更に綿密な調査の実施と、データ分析、論文執筆・成果発表活動の原資とする予定である。
|
Research Products
(7 results)