2014 Fiscal Year Research-status Report
企業の人事マネジメントと女性のキャリア形成の変遷に関する国際比較分析
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25360046
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
石黒 久仁子 文京学院大学, 外国語学部, 准教授 (90573915)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | キャリア / 人的資源管理 / ジェンダー / 雇用 / 労働 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は企業人事部門への聞き取り及び女性社員へのライフ・ヒストリー・アプローチを用いたインタビューを中心に、日本・フランス・スウェーデンの大企業における女性のキャリア形成の過程を分析し、今後女性が企業で活き活きと活躍するための方策について考察することを目的とした。研究1年目の昨年度の情報収集と分析の結果、国際比較においては更にヨーロッパ他国の例も分析し比較の材料とすることにより、各国・地域の女性活用の動向を、より深く理解し分析に臨むことが課題となった。 これを受けて、研究の2年目にあたる本年度は、① これまで調査を進めてきた日本企業・フランス企業、および各国のビジネスの現場で活躍する女性を対象にした新規の聞き取り調査の実施とフォローアップ、② スウェーデンをはじめとする北欧諸国調査のための情報収集とネットワーク作り、③ 在日欧州企業への聞き取り調査、④ ヨーロッパの比較対象国として英国の事例を収集し、最終年度となる来年度のデータ収集の実施(前半)と研究取りまとめのための基礎固めを実施した。 また、進行段階の調査を様々なアプローチで分析し、学会・論文の発表も積極的に実施した。 上述のように、本年度は次年度(27年度)の最終年度での研究の実施と取りまとめに向けて、ほぼ計画通りの研究を実施することができた。尚、日本における在日本欧州企業、海外の学会等から得た情報と、これまで構築されたネットワークから、北欧での実施調査は平成27年度の夏期に実施することが最も効果的と思われることから、再度平成27年度に最終の聞き取り調査を欧州で実施することとした。また、国内調査において、デンマーク他北欧企業・政府の取り組みの事例も多く収集することが可能になった。この結果を受け、それら各国企業と女性のキャリア形成についての事例も積極的に比較調査の対象に組み入れて、研究に活かしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究の2年目にあたり、来年度の研究取りまとめに向けて、① 既に実施済の研究のフォローアップ・再分析(日本・フランス)、② スウェーデンをはじめとする北欧諸国の企業・研究者とのネットワーク作りと事例の調査(日本国内で実施)、及び次年度調査のための情報収集と準備、③ 英国の事例を収集、④ 現段階での成果の発表と新たな知見・課題の発見、と多くの成果を得た。 成果の発表としては、平成26年4月にはこれまでの研究結果と関連するテーマの分析を基に、 British Sociological Association で発表し、平成26年8月に The 14th International Conference of European Association for Japanese Studies での発表を実施。また、『文京学院大学外国語学部紀要』に論文発表をすることができた(査読論文)。 事例研究においては、上述のように日本・フランスの女性/男性に対しての聞き取り調査、在日本北欧企業に対しての聞き取り調査、デンマークを中心とする北欧諸国からのビジネスリーダー・政府関係者に対するプレゼンテーション・ディスカッション・聞き取りの実施、英国での事例の収集(女性ビジネスパーソン)を実施することができた。 北欧でのフィールドリサーチは、準備の結果、次年度(平成27年度)夏期の実施が最も効果的であることから、本年度中は在日・現地の企業、大学研究者らとの周到なコミュニケーションを実施した。 以上のように、本年度は事例の更なる分析と研究より得た知見の発表の活動を基に、最終年度となる平成27年の研究結果の分析と考察、取りまとめに向けての充実した活動を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はおおむね予定通りに実施されており、最終年度となる平成27年度は、事例を基にしたデータの収集(前半)と研究取りまとめ、及び成果の発表を中心に研究を実施する予定である。 事例研究においては、昨年度終了時に国際比較調査に英国をはじめとする他国の事例も組み入れることを課題としたが、平成26年度には英国の事例を収集できた。また、本年度海外での学会及び日本での調査・研究活動を通じて、デンマークを中心とする他の北欧諸国企業・政府関係者とのネットワークを構築できたことを受け、事例調査にそれら各国の事例も積極的に組み入れて再度夏期フィールド・リサーチを実施し、最終的な国際比較研究を行っていく予定である。 女性の活用に関する本研究課題は現在日本社会が直面している喫緊の課題であり、勤務先大学での研究活動・教育の場において発信していくと同時に、大学・学会関連に限らす、発表・討論を実施する機会を積極的に活用して、研究成果を社会に還元していく所存である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた事由としては、主に以下が挙げられる ① 本年度事例研究の調査期間が短縮され、予定額より減額されたが、次年度に再度調査が発生するため、外国旅費を次年度に持ち越すこととした ② 本年度は都内近郊での研究会・セミナーのみに参加したため国内旅費が発生しなかったが、次年度の国内学会・研究会などに使用予定 ③ 次年度は最終取りまとめ年度のため、発表及び研究動向の把握のため海外学会への参加を予定しており、その費用にあてるため ④ 文献レビューの書籍・雑誌については、勤務校・前勤務校の図書館などを通じて入手可能となり、予定より低額となったが、次年度の研究成果のとりまとめ(論文執筆、学会発表等)の準備において、必要な資料・文献を購入するため ⑤ 本年度は論文校閲費用が予定より低額となったが、次年度は現地聞き取り調査と研究取りまとめが発生するため、データのテープ起こし、論文校閲に使用予定。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度予定の研究活動の中で、主に以下の活動において助成金を使用し、調査の実施とデータ分析、論文執筆、成果発表を行う予定である。 ① 欧州調査の実施 ② 国内外学会・研究会参加 ③ 調査データのテープ起こし ④ 論文校閲 ⑤ 新刊文献・資料の購入。
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Research Products
(4 results)