2015 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代における「人権」概念とセクシュアル・マイノリティの包摂
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25360055
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Research Institution | Chikushi Jogakuen University |
Principal Investigator |
赤枝 香奈子 筑紫女学園大学, 現代社会学部, 講師 (00536576)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セクシュアル・マイノリティ / 同性愛 / レズビアン / 人権 / フィンランド / グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は26年度に引き続き、日本で女性同性愛に対するホモフォビアがどのように形成されてきたかを明らかにするため、主に1980年代以降の新聞・雑誌記事の収集、分析を行った。さらに近年のセクシュアル・マイノリティの社会的包摂について明らかにするため、「LGBT」を取り上げた文献資料の収集、分析を行った。研究成果の一端は「LGBT―誰がそこに含まれるのか」(『今どきコトバ事情』)として発表した。また80年代以降のレズビアンの運動史について調査するため、「日本Lばなし―日本のレズビアンの過去・現在・未来をつなぐ」に参加したほか、LGBTにかんするシンポジウムや「高齢期の性的マイノリティ 課題を知るつどい」、HIV/AIDSをテーマとするイベントなどに参加し、セクシュアル・マイノリティをめぐる現状や課題について認識を深めた。 本年度はこれまでに得られた日本のセクシュアル・マイノリティの社会的包摂にかんする知見を海外の事例と比較するため、台北で開催されたILGA-Asia Regional Conferenceやバンコクで開催された日本とタイのセクシュアリティをめぐる共同研究会などに参加した。さらにフィンランドと日本における親密な関係を比較する研究成果として、「『ムーミン』シリーズに見るつながりの形」(『家族―共に生きる形とは?』)を執筆した。 本研究で明らかになったことの一つは、日本ではレズビアンの歴史の再評価が進みつつあるものの、近代における女性同士の親密な関係については十分に取り上げられていないということである。そこで本研究の締めくくりとして、そのような関係を生きた女性たちを発掘し、オルタナティブな女性の歴史を描き出すことを目的とした講演会「オルタナティブ・ジェンダーヒストリープロジェクト」を開催し、講演者(黒澤亜里子)やコメンテーター、そして参加者とともに議論を深めた。
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Research Products
(3 results)