2014 Fiscal Year Research-status Report
明治期の東京大学における印度哲学および支那哲学講義の思想的意義
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25370012
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
鈴木 朋子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 研究員 (90622069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳重 公美 お茶の水女子大学, 文教育学部, アカデミック・アシスタント (00648884)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本仏教 / 中国哲学 / 近代日本思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
明治中期に東京大学で印度哲学(仏教学)の講義を担当した吉谷覚寿(1843―1914)と、中国哲学の講義を担当した島田重禮(1838―1896)の講義録、論文、演説記録等を収集、分析し、彼らの思想を考察した。その結果、第一に、吉谷は、国家の安定が維持されなければ、仏教の発展も望めないとし、仏教者は忠君愛国を基本とする当時の国民道徳を守るべきであると主張していることが明らかとなった。さらに、日清・日露戦争に対しても、国の方針に賛同し、積極的に協力していく姿勢が示されていた。第二に、島田によると、中国思想史の流れは五期に区分され、漢や隋、唐の儒者が低く位置づけられていることが明らかとなった。そして、孔子の思想は「人道」を重視するものであり、その中心概念となっている「仁」とは、修身教育において目指されるべきものであることから、その思想を学ぶ必要性を示していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度中に、使用する文献の所蔵先を確認していたため、早期に文献を収集し、分析を始めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、翻刻を行った資料を再度見直し、正確なものとするため、金沢大学附属図書館にて、原本との照合を行う。また、関連する新たな資料の発掘を行う。
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Causes of Carryover |
古本屋から購入した際、想定していた価格を下回ることが多く、図書の購入費を抑えることができた。また遠方での学会が少なかったため、旅費の使用金額が予定を下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度にあたる本年度は、これまでの研究をまとめ成果を発信するため、主として、関連する資料をより多く収集するための図書購入費、文献複写費、学会発表や論文発表のための原稿校閲にかかる人件費として、使用する予定である。また、老朽化したパソコン及びプリンターの購入も検討している。
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