2014 Fiscal Year Research-status Report
分析哲学とドイツ観念論の連携およびそのグローバルな意義
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25370018
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
入江 幸男 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70160075)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 意味の全体論 / 価値実在論 / ブランダム / フィヒテ / 社会構築主義 / ナショナリズム / Trasculturality / Transcendental Argument |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は、(1)ブランダムのBetween Saying and Doingを読み、ブランダムの意味論の最近の新しい展開(古典的な分析哲学のアプローチとは異なる、プラグマティックに媒介された意味論関係の分析)を確認し、それを文化理解への応用の可能性を検討した。 また、(2)推論が問いに答えるプロセスとしてのみ成立することを、理論的推論と実践的推論の両方について確認した。また問いと問いとの論理的な関係についても分析を行った。(3)さらに、コリングウッドテーゼを、社会問題と社会制度、個人問題と個人の関係の説明にも応用すること、社会問題と個人問題を構成する問いの前提として「文化」をとらえること、さらに、文化の比較の決定不可能性を、概念と内容の区別の決定不可能性と、問題の差異と答えの差異の区別の決定不可能性に基づいて論証し、そこに逆に文化の創造の可能性があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブランダム意味論の検討と、推論主義の検討は、おおむね順調に進んでいる。 マクダウェルの価値実在論の検討とそれを社会哲学につなげる研究は遅れているが、しかし、社会哲学の基本構想やその中で文化の位置づけについては、一定の見通しを得ることができた。また実施は次年度になるが、海外から9名の研究者を招いて、ドイツ観念論の超越論哲学の可能性を検討する国際会議の準備を行ったので、共同研究の点では、予想以上の成果をあげられる見通しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度には、4月に上記の国際会議を開催し、5月にはイギリスから価値実在論者のNick Zangwillを招いて意見交換を行い立ち遅れている価値実在論と社会構成主義の比較検討を進めたい。また、2学期には、サバティカルを利用して、ピッツバーグ大学に滞在して、BrandomとMcDowellのもとで研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
2015年4月に、USA、UK, カナダ、ドイツ、オーストリア、香港から、研究者9名を招いて国際会議を開催するので、そのための費用に充てるために、2014年度は支出を極力抑えることにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月に上記国際会議を行う。また2学期には、サバティカルを利用して、ピッツバーグ大学のBtandomとMcDowellのもとで研究を進める予定。
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Research Products
(6 results)